テキストを開いてお勉強している4人の子ども

発達障害児に限らず、人が学習する目的は、その後の人生をより良いものとするためです。その目的のなかでももっとも大きなものは、就労を実現するために最低限求められるであろう学力やスキルなど(就労を実現するための最低条件)です。なぜなら、就労をすることで、将来生活の生活費および余暇にかかる費用を稼がなければならないからです。

人が学習する目的は、それだけではありません。なぜなら、人が生きていくためには、生活面におけるさまざまな活動で、ある程度の学力が求められるからです。ですから、人が学習する目的には、将来の生活において必要と思われる学力も考慮しなくてはならないでしょう。

将来の生活において必要と思われる能力

生活全般で求められる最大の能力は、まず、お金を管理する能力です。少なくとも、収入と支出のバランスが取れていないと就労が実現できていても、生活は破綻してしまうからです。ですから、お金を管理するための四則計算の能力は、どうしても必須となります。

人の通常の生活のなかで基本となるのは、衣食住です。衣食については買い物が前提となりますから、買い物する能力も求められるでしょう。さらに衣については、洗濯や収納管理したりする能力が求められます。洗濯する能力には、洗濯機の操作方法や洗剤、柔軟剤といったものの知識も必要です。食に関しても同様に、食品の賞味期限や食材の調理方法に関する知識も必要です。さらには、コンロをつかう場合には、火の管理に対しても、十分に配慮できるだけの能力も求められるでしょう。

お子さんの将来の生活のなかでは、病院、歯科医院も外せないところです。ちょっとした風邪でも重症化すると厄介ですから、病院にひとりでいけるように今から練習することをおすすめします。お子さんが大人になるまでに、病院での受付、受診時には症状の説明までを自力でできることが理想です。

その他、お金を管理するのにも、会社から給与が振り込まれるのも本人名義の銀行口座なので、銀行に関する知識も少しはあった方がよいでしょう。そして、通帳やキャッシュカードがどういうものであるのか理解させるとともに、その管理方法も教える必要があります。

役所関係についても、できれば教えておいた方が良いと思います。最低限教えるべきところは福祉課など、お子さんが将来困ったときのセーフティネットとなるところです。困ったら、ここに相談しなさいでもいいと思います。また、役所からの広報も読めるようになると、そこにも困ったときのセーフティネットが載っていますから、読んで理解できるようになっていることが理想です。

発達障害児でも、将来の生活に関しては健常児と事情は変わりませんから、親御さんがご存命中は親御さんのフォローをうけることができますが、その後の選択肢としては、①自力で生活するか、②グループホームに入居するか、③障害者施設に入居するなどがあります。どれを選択するかについては、お子さんの能力の高低による部分とお子さんの兄弟姉妹の協力がどこまで得られるのかによって、変わってこようかと思います。また、現在住んでいる住居が、持ち家なのか、賃貸なのかでも影響があると思います。

上記の①~③については、難易度が高い順から①>②>③となりますが、求められる能力が①と②の差はとても大きいと思います。②と③の差はそれほど大きくはないと思います。

上記に記載したことは、本来必要となるであろうことのほんの一部ですが、発達障害児が大人になるまでにある程度を理解ができて、ある程度は自力で対応できることが理想です。ですが、すべてを一度に対応することなんてできませんし、お子さんの能力に合わせて、少しずつですが、優先順位を決めて習得させていけばいいのではないかと思います。

障害の重いお子さんについては、習得できる事項が少ないかもしれませんが、少しでも自力でできることが増えれば、本人の生きることへの自信や意欲につながります。また、フォローする側の負担も減りますので、お互いにメリットがあります。

今回のまとめ

発達障害児の学習の目的
 ⇒ 人生をより良いものとする(就労の実現も含む)

就労の実現
 ⇒ 就労を実現するための最低条件

生活の基本
 ⇒ 生活するうえで必要な能力(買い物、洗濯、病院など)

セーフティネットの確保
 ⇒ 本当に困ったときの相談先の確保

具体的にできるようにするための能力(事例)

  • お金を管理する能力
     ⇒ 四則計算能力など
  • 買い物
     ⇒ 四則計算能力、コミュニケーション能力など
  • 病院・歯科
     ⇒ 説明能力、コミュニケーション能力など
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