サリーとアン

発達障害児(自閉症児)の思考(発達障害児がどのように思考するのか)について、理解するのに「サリーとアンの課題」はかなりわかりやすい事例だと思います。これについては、知っている方も多いと思いますが、改めてご紹介します。

サリーとアンの課題

前提
1つの部屋にサリーとアンがいます。部屋には「サリーの青い箱」と「アンの赤い箱」が置いてあります。

サリーとアンの課題1

ステップ1
サリーはお気に入りのビー玉を「サリーの青い箱」の中に仕舞いました。

サリーとアンの課題2

ステップ2
サリーは部屋から出ていきました。

サリーとアンの課題3

ステップ3
アンは、「サリーの青い箱」からビー玉を取り出し、「アンの赤い箱」の中に仕舞いました。

サリーとアンの課題4

ステップ4
アンは部屋から出ていきました。

サリーとアンの課題5

ステップ5
サリーが部屋に戻ってきました。お気に入りのビー玉で遊ぼうとしています。さて、サリーはどこを探すでしょうか。

サリーとアンの課題6

サリーは、「アンが勝手にビー玉を「サリーの青い箱」から取り出し、「アンの赤い箱」の中に仕舞ったこと」を知らないわけですから、この課題の正解は「サリーの青い箱」です。

しかし、サリーのお気に入りのビー玉はどこにあるかというと、「アンの赤い箱」の中です。

「サリーとアンの課題」重要なポイント

「POINT」と書かれたボードを持っているウサギ

「サリーとアンの課題」の重要な点は、サリーのビー玉がどこにあるかということを聞いていません。サリーがどこを探すかを聞いています。

上記の前提からステップ3までの流れを知っていると、サリーのビー玉が、今どこにあるかがわかります。ですが、ここで聞かれているのは、サリーの気持ちです。

サリーは、上記のステップ2以降の流れを知りません。

サリーが認識しているのは、お気に入りのビー玉を「サリーの青い箱」の中に仕舞ったところまでであり、アンが勝手にビー玉を移動させたことを知らないのです。

発達障害児に、「サリーとアンの課題」を聞くと、「サリーは「アンの赤い箱」の中を探す」という答えが返ってくることが多いそうです。

では、なぜ、発達障害児はそう答えることが多いのでしょうか。

この課題での客観的な事実関係は、「(サリーの知らないところで)ビー玉がアンによって、「サリーの青い箱」から「アンの赤い箱」に移されてしまった」ということです。

ですから、最終的にビー玉は「アンの赤い箱」の中にあるということが、この課題での客観的な事実となります。

この課題では、ビー玉が現在どこにあるのかという客観的な事実は、比較的わかりやすいです。だから、発達障害児の多くは、この客観的な事実を答えがちなのではないかと考えています。

ここが難しいのです

悩んでいるウサギ

ただし、ここで注意すべき点は、この課題が客観的な事実関係を聞いておらず、サリーの気持ち(サリーが、ビー玉がどこにあると考えているか)を聞いているところにあります。

この課題の肝は、ビー玉が移された事実を、アンは知っているが、サリーは知らないというところにあります。

ですから、この課題で正しい答えを導き出すためには、「ビー玉が移された事実を、サリーが知らない」ということを理解できることが必要になってきます。

ですが、サリーの気持ちを理解するというプロセスが、この課題を難解なものにしています。それで、発達障害児にはむずかしくなっているのです。

この課題を解くためには、ステップ毎にサリーやアンがビー玉の行方について、どのように認識しているかを、理解していく必要があろうかと思います。

今回のまとめ
サリーとアンの課題が発達障害児にはむずかしい理由

事実関係

  • サリーのビー玉は、アンが「サリーの青い箱」から「アンの赤い箱」に移動させたため、最終的にビー玉は「アンの赤い箱」にある
  • 発達障害児にも、わかりやすい

課題の内容

  • サリーがビー玉さがすのに、どこを探すかを聞いている
  • サリーは、アンがビー玉を移動させたことを知らない
  • サリーは、「サリーの青い箱」の中にビー玉があると思っている
  • 発達障害児には、とてもわかりにくい
    したがって、発達障害児は、わかりやすい事実関係を答えてしまう傾向がある

今回はここまでです。次回は、「サリーとアンの課題」について、発達障害児にスモールステップで理解させる方法をお話しします。お楽しみに。

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