「パンの製造販売には、算数の知識が必要!」と書かれたホワイトボードとフードコースの生徒

前回は、高等特別支援学校のフードコースの生徒が、文化祭などのイベント時にどのように頑張っているのか、その活躍のようすをお伝えしました。

詳しくは、こちらをご参照ください。

今回は、パン製造に関して具体的にどのような作業をしているのかについて、ご紹介します。

パンの製造は複雑な作業の連続

パンを製造している生徒

パンを製造するためには、レシピが基本です。

レシピに基づいて、材料を用意します。

また、製造工程も決まっていますから、正しい手順で作業をすすめていくことになります。

ですが、製造するパンの種類も多いですから、その分だけたくさんのレシピがありますし、パンの種類によって作業手順も違いますので、かなり複雑で面倒な作業です。

材料の用意

パンの材料

各種類のパンのレシピは、それぞれパン工房教室の壁に掲示されていました。

ただし、そのレシピは、5個分とか10個分のレシピです。

現実には毎回、製造するパンの個数は増減しますから、それに合わせて材料の分量も調節する必要があります。

※あくまでも事例です(実際に掲示されていたものとは違います)
<バターロールのレシピ(10個分)>
強力粉 (100g)
薄力粉 (100g)
(3g)
砂糖 (25g)
バター (30g)
ドライイースト (3g)
牛乳 (100㎖)
卵1個 (50g)
※後で生地に塗る分の卵は別途用意

必要な分量を算出

掛け算

上記のレシピの事例はバターロール10個分のレシピですので、20個作る場合にはすべての材料を2倍の分量で用意する必要があります。

ですから、すべての材料のそれぞれの分量に「2」をかけて、必要な分量を算出する必要があります。

具体的な計算結果は、以下のとおりです。

<バターロールのレシピ(20個分)>
強力粉 (100g) × 2倍 = 200g
薄力粉 (100g) × 2倍 = 200g
(3g) × 2倍 = 6g
砂糖 (25g) × 2倍 = 50g
バター (30g) × 2倍 = 60g
ドライイースト (3g) × 2倍 = 6g
牛乳 (100㎖) × 2倍 = 200㎖
卵1個 (50g) × 2倍 = 100g
※後で生地に塗る分の卵は別途用意

息子の学校では、イベント毎に先生からその日に製造するパンについて、そのパンの種類と製造個数が生徒たちに伝えられます。

製造するパンの種類も製造個数も相当数に上りますから、生徒たちも班に分かれて、各班毎に製造するパンを分担して作業にあたります。

生徒たちは、割り当てられたパンの種類と個数を確認します。

そして、壁に貼ってあるレシピをみながら、材料とその分量を最初に計算します。

例えば、割り当てられたパンがロールパンで、その日の製造個数が20個と指示された場合、班全員で電卓片手に必要な材料とその分量を計算します。

電卓

計算が終わったら、みんなで答え合わせをします。

<ロールパンの製造工程(作業手順)>
ロールパン
  1. その日の製造個数を確認。レシピを見ながら必要な材料とその分量を正確に計算。
  2. 必要な材料を用意して、(1)で計算した分量を正確に計量する。(デジタル計量器を使用)
  3. (2)で計量した材料をすべて合わせて、こねる作業。息子の学校にはミキサーが1台しかなかったので、製造するパンのほとんどは手ごねで対応。
  4. こねる作業が終わったら、パン生地を2~3時間発酵させる。
  5. 発酵終了後、パン生地を必要個数に切り分け、形を形成する。
  6. パン生地の表面に、別途用意しておいた卵の卵黄を塗ってから、オーブンで焼きの工程へ。
  7. 焼きあがったパンは、少し冷ましてからパック詰めし、ラベルシール(商品名、原材料を記載したもの)を貼り付け。売り場へ出荷。

息子の学校で製造していたパンは、アンパン、バターロール、コロッケパン、クリームパン、カレーパン、ソーセージパン、クッキーなど20種類以上あり、1回の製造でそれぞれのパンをおおよそ40個~50個を製造していました。

なお、アンパンのあんこ、コロッケ、クリーム、カレーなどのパンの具は、市販のものを事前に準備してパン生地に加えていたようです。

算数の知識も必要

算数のテキスト

パンの製造は、パンの製造工程だけの理解だけではなく、算数の知識も求められます。

パン作りの基本はレシピですから、レシピから製造するパンの個数に応じて、必要な材料とその分量を計算する力が求められます。

その計算は、小学校で習う算数ですが、その算数のなかではもっともむずかしい比の計算です。(比例の計算)

今回の計算事例では、レシピの2倍でわかりやすい事例を用意しましたが、場合によっては、レシピの1/2とか1/5とかの計算が必要になることもあります。

また、学校で用意していたレシピはすべてグラム表示ですが、実際に就労する現場のレシピでは「大さじ」「小さじ」「少々」などの表示がされている可能性があります。

計量カップと計量スプーン

パン屋さんや飲食店で就労する場合には、そういった知識も教えていく必要があろうかと思います。

私も趣味で週に1回くらいは簡単な料理をしますから、ある程度は料理の知識があります。

大さじ、小さじは計量スプーンがありますから、それで教えていけば良いと思います。

できれば、今は、クックパッドなどとても便利なレシピのサイトがありますから、お子さんと一緒に簡単なメニューに挑戦してみるのも、いい経験になるかと思います。

なお、息子の学校の生徒たちは、自分たちで製造したパンを自分たちで販売していました。

パンの会計を担当している生徒

パンの値段は1個50円とか計算しやすい値段設定にされていました。

それでも、販売となればお客様とのコミュニケーションスキルが求められますし、お金のやり取りがありますから、販売スキルも求められます。

ですから、パンの製造販売には、算数の知識が必要となります。

なお、高等特別支援学校の過去の入試問題に上記でご紹介したレシピの計算問題がわりと出題されています。

お子さんの進路先として、高等特別支援学校を検討されている場合にはこういった計算問題もできるようにしておく必要があると思います。

今回のまとめ

高等特別支援学校でのパンの製造

  • レシピが基本。基本となるレシピを確認し、製造するパンの個数に応じて材料の分量を正確に計算(わりとむずかしい比の計算)
  • 材料の分量計算の結果に基づき、材料の分量を正確に計量
  • パンの製造工程(作業手順)に基づき、パンを製造

実際の就労の現場では、レシピ表示はグラム以外の可能性も

  • 「大さじ」「小さじ」「少々」などの表示にも対応できるようにしておく

レシピの計算(比の計算)は、過去に高等特別支援学校の入試問題に出題

今回はここまでです。

次回は、調理レシピを題材とした計算問題(入試模擬問題)をご紹介します。

高等特別支援学校の入試問題でも出題されたことがありますので、ぜひご参考としてください。お楽しみに。

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