クリッとした目

当時、会社から帰ってきてからの私の日課は、ソファーに座って一息ついたら、息子を抱っこして話しかけることでした。なぜか息子は私の抱っこを嫌がり、ファンタジーの世界へいって建造物を作りたがりました。ですから、私がゴジラになるまでは、抱っこ時間はせいぜい5分くらいが限界でした。ところが、ゴジラの破壊活動が始まってからは、抱っこの限界時間が徐々に伸びていくようになりました。最終的に、息子の創作活動が終了してからは、徐々に抱っこに慣れてきたのか、抱っこ自体も嫌がらなくなったのです。慣れってこわいものです。

息子は私が抱っこしても、決して私と目を合わせようとしませんでした。これも、自閉症の障害特性の1つです。ですから、息子を抱っこしたとき最初にやることは、息子を膝の上にのせてから、両手で息子の両頬を抑えて私の顔に真正面に向くようにしました。こうすると、一瞬ですが、息子と私の目が合います。でも、息子はすぐに視線をそらします。息子の顔は両手で抑えているので、目玉だけがクルリとあさっての方向に向いてしまいます。毎日これを何度か繰り返しますが、何度やっても目玉だけがクルリとなっちゃうのです。今では妻と「あの頃は変だったね」と笑い話になっています。

これは、息子と私の視線を合わせる練習です。毎日欠かさずに、クルリをやってました。一旦クルリとなって視線が逸れても、「こっち向いて」と声がけすると、目玉だけがクルリと動いて、また一瞬だけ目が合います。そして、また、クルリと視線が逸れます。この練習はおおよそ3歳頃から就学直前くらいまで続いたと記憶しています。この練習が終了したのは、視線が合うようになったからです。本当に「継続は力なり」とはよくいったものです。

コミュニケーションというものは、はなし言葉から始まると考えていますが、その際、話し相手との視線が合っていないと、うまく意思疎通ができないのではないかとも思っています。みなさんもお子さんと話をするときは、お子さんの目をじっと見つめてお話しをされると思います。その方が、こちらが伝えたいことがきちんと伝わるように思いますし、お子さんの顔を観察しながら話していれば、お子さんの理解の度合いも何となくですがわかるのではないのでしょうか。

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