発達障害のお子さんが自転車に乗れるようになる前に、最低限でも検討すべき4つのこと

前回は、息子との公文教室の往復やウォーキングでのエピソードから、発達障害のお子さんが歩行者の立場での、最低限でも習得させたい3つの交通ルールについてお話をしました。
今回は、息子の自転車に関するエピソードから、発達障害のお子さんが自転車に乗っている立場での、最低限でも4つの検討すべきことなどについてお話しします。
発達障害の障害特性が顕著に現れていた息子

幼い頃の息子は、発達障害の障害特性が顕著に現れていた子どもでした。
そのなかの1つとして常同行動があります。
息子の常同行動の症状は、横にゆらゆらして安定しないことです。
息子は体幹が不安定でまっすぐ立っているつもりでも、いすにすわっていても、いつも横にゆらゆらしていました。
もしかしたら、体幹の発達不十分なのかなと随分と心配していましたが、小学校の3年生くらいには、だいぶ安定してきたのでホッとしたのを、今でも記憶しています。
息子の発達障害の障害特性のうち、独り言および常同行動、そしてその改善のようすについては、こちらでもご紹介していまので、ご参照ください。
自転車に乗ることをこわがっていた息子が、自転車に乗れるようになるまで

息子は、以前から自転車に乗ることをこわがっていましたが、体幹が安定してきた小学校3年生のときに、息子の1つ上の兄貴の提案で自転車に乗る練習をすることになりました。
息子は体幹が安定してきたとはいえ、まだ少しはゆらゆらしているので、私は、自転車はまだちょっと早いのではないかと思っていました。
ですが、兄貴の方はむしろ積極的でした。
「弟が自転車に乗れるようになった方がいい」とこわがる弟をなだめながら、自転車に乗る練習を根気よく頑張ってくれました。
主に兄貴がメインで、妻が付き添う形です。
息子はこわがっていたためか、乗れるようになるまでに相当時間がかかりました。
ですが、結果的に2~3週間くらいで乗れるようになっていました。
息子は自転車に乗れるようになったせいか、できることがまた増えたことで、さらに自信がついたようです。

最初は、まだまだ無理だと思っていましたが、本当に子どもの適用能力はすごいものです。
また、息子が自転車に乗れるようになった功績は、兄貴のおかげです。
自転車にはさまざまなリスクがある(息子の自転車の購入は見送り)

息子は自転車をマスターしましたが、この時点では自転車を買い与えることは保留としました。
なぜなら、この時期から自転車の運転者を加害者として歩行者をはねてしまう事故が、社会問題になり始めた頃だったからです。
また、息子自身、放課後の行動範囲は公文教室くらいでしたので、自転車の購入は見送りました。
息子の自転車の購入は見送りましたが、その後、年に何回かは、近隣のサイクリングコースで自転車をレンタルして、サイクリングを家族で楽しんでいます。
息子は今では、まったくふらつくこともなく、自転車を思いどおりに乗りこなすことができています。
交通ルールを理解させる

この時期、兄貴の方は自転車を多用していたため、歩道での走行には十分注意するように促しました。
道路交通法上では、原則として、自転車は歩道を走行することができません。
例外的に「自転車通行可」の標識がある場合などでは、自転車が歩道を走行することができますが、あくまでも歩道は歩行者が優先されます。
このことを忘れてはいけないと、兄貴には伝えました。
交通ルールについては、「自転車安全利用五則」をご参照ください。
自転車安全利用五則
警察庁ウェブサイト
- 1.自転車は、車道が原則、歩道は例外
- 道路交通法上、自転車は軽車両と位置付けられています。
したがって車道と歩道の区別があるところは車道通行が原則です。- 2.車道は左側を通行
- 自転車は、道路の左側に寄って通行しなければなりません。
- 3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
- 歩道を通行する場合は、車道寄りの部分を徐行しなければなりません。
歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければなりません。- 4.安全ルールを守る
- • 飲酒運転・二人乗り・並進の禁止
• 夜間はライトを点灯
• 交差点での信号遵守と一時停止・安全確認- 5.子どもはヘルメットを着用
- 幼児・児童を保護する責任のある方は、幼児を幼児用座席に乗せるときや幼児・児童が自転車を運転するときは、幼児・児童に乗車用ヘルメットをかぶらせるようにしましょう。
マナーの徹底を

お年寄りやベビーカーのすぐそばを、猛スピードで駆け抜けようとする自転車、スマホ片手に自転車で歩道を走行する方が最近増えてきたように思います。
とても残念なことです。
先にご紹介した「自転車安全利用五則」の他にも、自転車に乗るときのマナーを徹底させることが重要だと考えます。
こんな運転は危険です。
自転車は、道路交通法上は軽車両扱いで、自動車などの車両に含まれます。こんな運転もやめましょう
政府広報オンライン
- • スマートフォン・携帯電話を使いながらの運転
- スマートフォン・携帯電話を操作しながらの運転は、片手運転でふらつきやすいうえ、周囲を見ていないため、事故に遭ったり、歩行者にぶつかってけがをさせたりするおそれがあります。
- • 傘さし運転
- 傘差し運転はバランスを崩しやすくする原因となるほか、傘によって前方の視界が遮られ、前方不確認となるおそれがあります。
- • イヤホンやヘッドホンで音楽などを聴きながらの運転
- イヤホンで音楽を聴きながらの運転は、音楽に気をとられて注意散漫になったり、後ろから近づいてくる自動車の音が聞こえなかったりして、事故に遭う危険性が高まります。
自転車とはいえ罰則規定(懲役刑、罰金刑)がありますが、知らない方が多いのではないかと懸念しています。
リスクに備えましょう

自転車とはいえ人身の交通事故を起こしてしまった場合、多額の損害賠償請求が来ることもありますので、それに備える必要があります。
最近では、自転車保険が販売されるようになってきていますが、普及の状況どうなのでしょうか。
自転車保険でなくても、自転車事故を起こしたときに補償してもらえる保険があります。
それは、個人賠償責任保険です。
ちなみにわが家では、自動車保険に個人賠償責任保険特約を付加しています。
自転車保険、個人賠償責任保険について、簡単に説明すると以下とおりです。
実際には、損害保険会社で取り扱っています。
補償の範囲や適用される人(契約者本人のみ適用されるのか、家族全員が適用されるのか)などの詳細については、契約される損害保険会社にお問い合せください。
自転車保険
一般的に自分のけがに備える「損害保険」と、他人にけがを負わせた時などに補償される「個人賠償責任保険」を組み合わせたもの。au損保の場合、月額360円の保険料で、自転車事故で亡くなった場合は500万円、他人に被害を負わせた場合は最大2億円の保険金が出る。自動車保険や火災保険、クレジットカード付帯の保険などに含まれている場合もある。(2017-12-24 朝日新聞 朝刊 1社会)
コトバンク
親御さんのなかには、発達障害のお子さんに自転車くらいは乗れるようになってほしいと、希望される方は少なくないと思います。個人賠償責任保険
日常生活中に誤って他人にケガをさせたり、他人のものを壊してしまった場合に被る法律上の損害賠償金をお支払いする保険をいいます。訴訟になった場合の訴訟費用や弁護士報酬なども支払われます。ただし、自動車事故による賠償責任事故は補償されません。(出典 自動車保険・医療保険のソニー損保/損害保険用語集について)
コトバンク
自転車に乗れるようになるということは、行動範囲が広がりますので、それに伴い生活の幅が広がるなど利便性が高くなるメリットがあります。
ですが、それと同時に、自動車やバイク事故に巻き込まれたり、歩行者をはねてしまうなど、さまざまなリスクも生じることとなります。
ですから、自転車の乗れるようになった際には、自転車に乗る立場での交通ルールを習得させること、スマホしながら自転車に乗らないことなどのマナーを徹底させることが必要です。
また、万が一の事故に対応するための保険に加入することも、併せてご検討されることをおすすめします。
まとめ
発達障害のお子さんが自転車に乗れるようになる前に、最低限でも4つの検討すべきこと
- 自動車やバイク事故に巻き込まれたり、歩行者をはねてしまうなど、さまざまなリスクについて教えること
- 自転車に乗る立場での交通ルールを習得させること
- スマホしながら自転車に乗らないことなどのマナーを徹底させること
- 万が一のための保険に加入すること
次回は「発達障害のお子さんが自動車免許を取得する前に、最低限でも検討すべき4つのこと(自動車編)」について、お話しします。お楽しみに。