発達障害の息子の学校内でのコミュニケーション "職場実習ってどんな感じ?"(職場実習編)

前回までは、学校内でのコミュニケーションに関して、実際の職場と学校の先生の考えとの温度差があったことについて、お話ししました。
今回は、息子の実際の職場実習でのようすも踏まえ、コミュニケーションの重要性について考察していきたいと思います。
息子が職場実習でお世話になった企業

息子は、高等特別支援学校時代に、さまざまな会社での職場実習を経験しています。
そのなかで、特にコミュニケーションを重視していた会社があったので、ご紹介します。
その会社は、社員数50名くらいの小企業でした。その会社の主な業務は清掃です。
その会社は、クライアント企業から清掃業務を請け負い、そのクライアント企業に社員を派遣して清掃を行います。

クライアント企業は、一般のオフィスだったり、小売業の店舗だったりとまちまちです。
清掃する時間は、クライアント側の都合で決まります。
オフィスなどでは、その会社の就業時間中での清掃作業ですが、店舗などでは、その店舗の閉店後に清掃作業が開始されるため、作業時間帯は、午後から深夜にかけての作業が多かったです。

ですから、息子の職場実習は、作業自体は取り立てて大変というわけではなかったのですが、出勤時間が勤務日によってまちまちでした。
そのため、労働時間も不規則で午前中から夕方までの日もあれば、夕方から出勤して深夜までということも少なくなく、体調管理に十分な配慮が必要な職場でした。
職場実習の打ち合わせと職場の雰囲気

息子の職場実習が上記の会社に決定した際、事前に学校側から会社の情報の簡単な説明をうけました。
職場実習の実施前には、会社側と事前の打ち合わせがあります。
打ち合わせの場所は実習先の会社の会議室でした。
労働時間が一定していない、従業員の方々の負担が大きい職場でしたので、会社の雰囲気はどうなのだろうか、息子はこの会社で仕事をきちんと遂行できるだろうかと、不安を抱えながら打ち合わせに臨みました。
会社の社長さんは30代後半で若いのに、しっかりとした考えを持っていました。

会社の業態が従業員に負担をかけていることを十分認識されており、その分社員のコミュニケーションをとても重視されていました。
社員のほとんどは20代の方ばかりで、特に女性の多い職場でした。
社長さんの説明では、特に若い女性が多いのでいろいろと気を使うことが多いが、楽しく仕事をしてもらうための工夫は、社員の方々にアイデアを出させているとのことでした。
具体的には、社員全体が和気あいあいと仕事ができる仕事環境の整備でした。
例えば、社内では本名を使わずに、本人が気に入るようなニックネームで呼び合うようにしたり、会社内のイベント(誕生日会など)を企画させて、社員間のコミュニケーションを深めるような努力をされているとのことでした。

実習期間中は、息子から仕事内容や社員の方々との交流のようすを聞いたところ、ポケモン(アニメ:ポケットモンスター)が好きな女性社員の方と好きなキャラクターの話で盛り上がった話など、楽しかったエピソードを息子から、たくさん聞くことができました。
実際の職場実習

職場実習自体は、2人またはそれ以上の複数人でチームを組んで、社有車で作業現場に向かいます。
チームなかの1人がリーダーとして、全体の仕事の段取りの指示、仕事の進捗状況の確認、仕事の仕上がり状況の確認など仕事の指揮されていました。
また、このリーダーが息子の指導者となります。

息子の職場実習は、毎日チーム編成が変わりますし作業場所も変わります。
リーダー(息子の指導者)も毎回変わりましたが、息子は問題なく仕事をこなすことができたようです。
息子は、高等特別支援学校では、清掃スキルを学んでおり、スクイージー(清掃道具)やポリッシャー(洗浄機械)の扱いもマスターしていましたので、清掃現場では即戦力に近い評価をいただけたことは、息子の仕事への自信につながったようです。


職場実習には2種類あります

息子の職場実習のなかでも、コミュニケーションをとても大事にしている会社をご紹介しました。特別支援学校や高等特別支援学校では、職場実習が実施されます。
職場実習には2種類あります。
1つは訓練としての職場実習で、高等部の1、2年生時に実施されます。
もう1つは、就職活動としての職場実習で、高等部の3年生時に実施されます。
後者の場合は、職場実習終了時に採用面接が実施され、最終的に採用可否が決定されます。
これで、採用されると晴れて社員になれるわけです。

職場実習は、自動的にできるわけではありません。
学校の就労担当の先生が、頑張って職場実習をしてくれる会社を開拓しているから、職場実習ができるのです。

また、職場実習では、会社の担当者が貴重な時間を割いて、無償で実習を実施しています。
職場実習の現場では、現場担当者から優しく丁寧に指導してもらえます。

これらはすべて、善意です。
ですから、職場実習に参加できることは、学校の就労担当の先生や実習先の担当者の方々の尽力があって、その恩恵をうけることができることを忘れてはいけません。
感謝の気持ちをもって、職場実習に臨んでいただけたらと思います。

なお、職場実習については、こちらで事前の打ち合わせから、事後の反省会、そして採用面接に至るまで、すべて丸わかりの解説をしています。
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- 息子の職場実習体験談
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(事例)清掃業務がメインの会社
(問題点)
- 労働開始時間や労働時間が不規則で、就労時間が深夜に及ぶこともあり、体調管理に十分な配慮が必要
(仕事環境の整備)
- 社員に楽しく仕事をしてもらうための施策を実施。社員全体が和気あいあいと仕事ができる仕事環境の整備。具体的には、会社内のイベント(誕生日会など)などを企画。社員間のコミュニケーションを深める努力