「しつけ」とは何だろう

協調性を育てるヒントは、「しつけ」です。しつけというと厳しく育てるといったマイナスなイメージがあるため、嫌悪される方もいるかもしれませんが、そうではないと思います。「身を美しくするのがしつけ」などと、大層なことを言うつもりもありません。
しつけとは、親がわが子に対して、生きていくうえで困ることがないように行うものと考えています。それは、親なら誰でももっている子どもに対する深い愛情です。そして、そのなかでも、わが子が学校や社会で他者とうまくやっていくために、最低限身につけておくべきことが協調性です。
ですが、協調性を教えるためには、自分を抑えて他者へ配慮することを教えなければならないため、我慢を教えることも必要となってきます。なぜなら、協調性とは、自分を抑えて相手に配慮する気持ちや感情ですから、自分を抑えるということは、自分がやりたいことや自分が言いたいことを我慢する力が求められるからです。子どもに我慢を教えることは大変な作業です。ときには、子どもに対して毅然とした態度で臨まなければならない局面もあるかもしれません。親としてはつらい作業ですが、これも親の深い愛情だと考えています。
わが子がこれから何十年と生きていく過程において、最初は家庭というコミュニティのなかで生活しますが、成長とともに学校や社会という大きなコミュニティへ生活や活動の場を移していきます。
家庭以外は元々他人同士が集まった集団生活です。家庭のなかにもルールがありますが、そのルールを破っても、親御さんが(まだ幼いのだから我慢しなくてもいいよと)それを容認すれば、それが許されます。しかし、家庭以外の集団生活において、集団のルールを守ることができないと、トラブルが発生します。トラブルが頻繁に起こってそれが改善されないと、最悪の場合、集団から排除の対象となってしまいます。親としては、できればそれは避けたいところです。
例えば、あなたのお子さんが、小学校のすべり台で遊んでいたとします。お気に入りのすべり台ですから何度もすべりたいのですが、人気の遊具ですからすべるためには並んで順番を守らないとトラブルになります。もし、お子さんが順番を守らないとしたら、他の児童とトラブルになってしまうでしょう。順番を守れない理由が①順番を守るという集団のルールを理解できていないことからくる行動なのか、②すべりたいという自分の気持ちを優先させた行動なのか、いずれにしても大きな問題です。
順番を守れない理由が①の場合、集団のルールを理解できていないのですから、集団のルールを理解させれば解決します。問題なのは、②の場合です。ここで、自分の気持ちを優先させるということは、別の場面でもやはり自分の気持ちを優先させると思われるからです。自分の気持ちを優先させることは、協調性が育っていないからと考えられます。協調性が育っていないと集団生活では、トラブルを生じさせたりトラブルに巻き込まれたりする可能性がとても高くなると思います。おそらく、発達障害児のかかわるトラブルの大半は、協調性が育っていないことから生じるものだと思っています。
親としては、大きな問題に発展する前に何とかしたいところです。前出のすべり台の事例では、まず、順番を守れるように、しつけにより協調性を育てることが重要になってくるのです。協調性が高まることにより、トラブルが回避できるだけでなく、集団生活で他者にうけ入れてもらえる可能性が高くなると思います。さらには、本ブログの究極の目標である「愛される子ども」にまで昇華できる可能性も高くなるのです。
人は1人では生きていくことができません。集団生活のなかでは、お互いに協力し合い助け合いながら、幸福な生活を追求していくことになります。協調性が身につくことにより、学校、職場、社会でうけ入れてもらえるということは、より幸福に近づくことも意味しています。発達障害を抱える親としては、ぜひ、ここを目標に子育てをしたいものです。それはまったくの空絵事ではないと考えています。
私の息子は、ある程度協調性を身につけ、ありがたいことに、同僚の皆さんにもうけ入れてもらっています。週末には一緒に遊びにいく友だちにも恵まれています。しかしながら、人間関係というものは、ある意味脆い側面もあります。昨日まで良好な友人関係が、一夜にして崩れてしまうこともあるのが、人間関係のむずかしいところでもあります。ですから、現状におごらず、このまま良好な人間関係が継続できるように、親として息子を見守っているところです。
子どもに「協調性」を身につけさせることは結構むずかしい作業です。子どもに「協調性」を身につけさせるためには、「適切な親子関係の構築」が必要だと考えます。あなたのお悩みが「協調性を育てること」や「適切な親子関係の構築」であれば、こちらの「愛される子どもを育てよう ~ガンバルお母さんへのメッセージ~」がおすすめです。ぜひ、ご一読ください。
また、就労への詳細なプロセスもご紹介しています。