発達障害児の学習 何のために勉強するの? お子さんのやる気の育て方

前回、国語の教科について、教材を利用した具体的な習得していく方法について、お話ししました。また、教材選びも重要ですが、それ以上に重要なのは親御さんが一緒に学習につき合ってあげて、できることが増えたら褒めてあげることだとも、お話ししました。
今回は、発達障害児の学習について、もっと初心に立ち返って基本的なことにスポットをあてていきたいと思います。
何のために勉強するの?
そもそも人は、何のために勉強するのでしょうか。この問いは、人として生きていくうえでも。基本的な問いでもあります。お子さんから「なぜ、勉強しなければいけないの?」と、いきなりこんなことを聞かれたら、あなたはお子さんに丁寧に答えてあげられるでしょうか。また、お子さんからこのような質問があった場合、お子さんはどんな心境なのでしょうか。また、それに対して、どのような対応をするべきなのでしょうか。
この問いの答えは、1つだけではありません。また、絶対的な答えもないような気がします。
大まかにみなさんの意見を、最大公約数的に答えるとしたら、前出でも申しあげましたが「その後の人生をより良いものとするため」となるでしょう。(※)そのなかには、将来の生活をできる限り、他者の力を借りずに自力でできるようにしていくこと、就労を実現することで将来の生活の金銭的な裏付けをつくることも含まれます。
※これについては、こちらをご参照ください。
「なぜ、勉強しなければいけないの?」子どもの心境
「なぜ、勉強しなければいけないの?」と聞いてくるお子さんは、どんな心境なのでしょうか。それは「勉強したくない」という気持ちの現われだと思います。では、「勉強したくない」理由は何でしょうか。
なぜ、このようなことをみなさんに提起したのかというと、勉強をしたくない子どもに「勉強しなさい」というだけでは、子どもの心は動かないからです。無理やりさせるのも1つの方法かもしれませんが、もっと勉強嫌いになっても困ります。まずは、穏やかにすすめた方が良いような気もします。ですから、お子さんに前向きに勉強することを促すために、一緒にその原因を考えてみましょう。おおよそ、以下の2つくらいの理由でしょうか。
- <子どもが勉強を嫌がる理由>
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- 面倒だから、勉強したくない。(スマホやゲームなどでもっと遊びたい)
- 勉強に自信がない。(いくら勉強してもわからないから、もうやりたくない)
面倒だから、勉強したくない

理由(1)の場合は、単なる甘えです。誰でも、面倒なことからは逃れたいものですし、楽しいことだけに没頭したいと思うものです。ですが、親御さんがお子さんにこれを簡単に許してしまい、その状態が常態化してしまった場合、元も戻すのは相当にむずかしくなってしまいますから、それだけは避けたいところです。
この場合、前出の「その後の人生をより良いものとするため」を、具体的に細かいところまで、しっかりと親子で話し合う必要があると思います。その際、一方的に親御さんから、こんこんと説教するような話し方は避けた方がいいと思います。
お子さん自身に将来のことをじっくりと考えさせて、答えもできる限りお子さん自身から出させるようにした方が良いと思います。時間のかかる作業ですが、すぐに答えが出なくても良いと思います。時間をかけて、何度もお子さんと話し合いながら、確実にお子さんの心に落としていくことが大事だと思います。
勉強に自信がない

理由(2)の場合は、勉強に対して自信がないのですから、勉強で自信をつけてあげるしかありません。勉強を続けていけば、少しずつでも理解ができるはずなのです。ですから、親御さんのできる限りの励ましで、お子さんのやる気を育ててあげることをおすすめします。
ただし、今勉強している内容が、お子さんのレベルに届いていないこともありますので、その場合には、お子さんが理解できるレベルに戻してあげる必要があります。また、少しでも理解ができるようになったら、きちんと褒めてあげましょう。それが、お子さんの勉強へのモチベーションアップにつながるからです。
お子さんの勉強の理解がとてもゆっくりだとしても、それが今のお子さんの学習レベルです。ですから、親御さんとしてはイライラさせられる局面が多々あるかもしれませんが、ここはじっとこらえて無理をさせない方が良いと思います。無理をさせれば、お子さんの自信をさらに喪失させる結果になる恐れが出てきます。お子さんの学習レベルを十分認識したうえで、お子さんにあったペースですすめることをおすすめします。
就労するまでに就労に必要な学力をつければいい
最終的には、就労するまでに就労に必要な学力をつければいいのですから、他の子どもと比較しても仕方がありません。学習スピードが遅いのはお子さん自身が自覚していて、本人が一番つらい思いをしているはずなのです。親御さんとしてはどっしりと構えて、今のままのお子さんの状況をうけ止めてあげることが大事なのだと思います。
お子さんが勉強を嫌がる理由が、(1)または(2)のいずれであったとしても、勉強をしなくてもいいということにはなりませんから、前述を踏まえつつ、どちらにしても、親御さんが一緒にお子さんの勉強に態度でつき合ってあげることが、一番の解決方法だと思います。親御さんが一緒に勉強してあげることで、勉強したくなくてもお子さんは勉強から逃げられなくなりますので、効果的かと思います。
それでも勉強を嫌がるなら…

なお、もしも親御さんが、お子さんに対して一緒に勉強しようと提案しても、お子さんがそれを拒否するような場合、それは勉強嫌い以前の由々しき問題です。なぜなら、そのようなお子さんは勉強する姿勢ができていないだけではなく、もっと根本的な問題があるからです。
その原因は、本ブログでも何度もご説明をしていますが、「適切な親子関係」の構築ができていないからだと思います。ですから、この場合は、「適切な親子関係の構築」や「協調性」を育てることから始める必要があります。
なぜなら、親御さんが、どんなに熱心にお子さんに勉強させることを望んでいたとしても、勉強をする姿勢ができていない子どもに、勉強をさせることはできないからです。
「適切な親子関係の構築」や「協調性」については、こちらをご参照ください。
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- 「発達障害のお子さんに、協調性を育てるにはどうしたらいいの?」の巻発達障害児と協調性。障害特性から、あきらめていませんか?確かに苦手な分野ですが、決して不可能ではないのです。協調性を習得することで得られるメリットを考えてみましょう。
勉強をする姿勢ができていない子どもは、自分が一番なのです。自分が一番ですから、親御さんの言うことはきかなくていいと思っています。このようなお子さんにとって、親御さんはどうでもいい存在なのです。ですから、このような親御さんにとって不本意な状況を打破するためには、この不適切な親子関係を是正する必要があるのです。
ですが、「適切な親子関係の構築」や「協調性」を育てる作業は、今の親御さんとお子さんとの関係性を理解して、現状がどのような状況なのか把握することができれば、親御さんのやるべき方向性は見えてきます。
この「適切な親子関係の構築」と「協調性」の育成については、具体的にどのようにすればいいのか、こちらで詳細にご紹介しています。

お子さんが「なぜ、勉強しなければいけないの?」と聞いてきた場合、「勉強をしたくない」という意思表示。
勉強したくない理由
- 面倒だから、勉強したくない。
- 勉強に自信がない。
<解決策>
- 「その後の人生をより良いものとするため」という答えを、お子さん自身にじっくりと考えさせて、答えもできる限りお子さん自身から出させるようにする。
- できる限りの親御さんの励ましで、お子さんの勉強のやる気を育ててあげ、勉強で自信をつけてあげること。