発達障害の子どもを抱えて、お父さんのホンネは…

発達障害児の子育てにあたり、お父さんを味方にすることを提案しましたが、そのためには、お父さんを良く知ることが重要です。
そこで、前回は、一般的なお父さんはどういう考えでいるのかを考察する前に、私の実体験をお話ししました。
今回は、いよいよ一般的なお父さんはどういう考えでいるのかの考察です。
お父さんの正直な胸の内

発達障害児の子育てにおいて、お父さんは非協力的だと良くいわれます。私の経験でも、お父さんが発達障害児の子育てに積極的な方は、少数だと思います。ですが、世間ではイクメンブームが話題になったりしています。
発達障害児のお父さんも、まったく頑張っていないわけではありません。発達障害児のおやじの会を運営してお父さん同士の親睦会兼情報交換、子どもの育児への参加などでお母さんの負担を軽くしようと、頑張っている方もいるのですが、やはり絶対的に少数派なのは否めません。
お父さんは、お父さんとしての立場だけではありません。家庭内では強い男として、妻からは頼りにされる夫として、そして、子どもからは尊敬の対象となるようなお父さんでありたいというプライドがあります。
会社のなかでは、部下からは頼りがいのある先輩や上司として、上司からは信頼の厚い部下として認められたいという強い願望や意識があります。お父さんは、さまざまな立場でのプライドをもっているのです。それは、お母さんも同様だと思います。
発達障害児を抱えるお父さんの多くは、ひとりで悩んでいるお母さんに対して後ろめたさを感じていると思います。また、父親としてわが子がこのままでいいとは、考えていないはずです。
ですが、その後ろめたい気持ち以上に、自分のプライドを守りたいという思いが強すぎたり、発達障害児のわが子を取り巻く環境のなかで、問題解決ができるかどうか自信がもてないので、なかなか勇気を出せない状況なのかもしれません。
または、世間体が邪魔をして、最初の一歩を踏み出せないのかもしれません。単に面倒なので、わが子の問題に手を出すのを、躊躇しているだけなのかもしれません。
やっぱりつらいのです

発達障害の子育ては、考えただけで面倒ですし、何よりも親としては問題だらけのわが子と対峙することは、とてもつらすぎる作業です。そして、うまくやれる自信もまったくありません。
学校で何かしら問題が発生すれば、担任の先生と問題解決に向けて話し合いをしなければなりませんが、学校というところは、一般の人からすればとても敷居が高い場所です。下手をすれば、問題解決のための話し合いとは名ばかりで、つらい交渉になってしまうかもしれません。
先生から上から目線でいいように一方的に攻められるのも、いい気分なものではありません。妻や子どもの手前、父親としてはカッコ悪い姿は見せたくないというのも、本音のところです。
そういったことが予想できるので、はじめの一歩を躊躇してしまうのだと思います。ですから、お父さんはお母さんとは違い、いろいろとを考えすぎてしまい、腹をきめたり、気持ちが吹っ切れるのにとても時間がかかってしまうのだと思います。私自身も何だかんだで、行動に移すまでに半年間もウジウジしていました。
ここまでで、発達障害児を抱えるお父さんが、どんな気持ちでいるのか、おおよそはご理解いただけたでしょうか。
私がなぜ、お父さんの心情を理解できるかといえば、私も、同じ道を歩んできたからです。私も、他のお父さんと同じように悩み苦しみました。そして、立ち上がるまでに、半年もかかったのです。
お母さんのお気持ちはごもっともです

お父さんの心情をご理解されたお母さん方、あなた方はどう思われたでしょうか。男はまったく甘いと思われたでしょうか。お父さんがしっかりしないために、お母さんばかりにしわ寄せがいったことに腹が立ったと思うかもしれません。
お母さん方のお気持ちは理解できますが、お子さんの子育てやトラブルへの対応を、お母さんひとりでやっていくのも、現実的ではありませんので、ここはうまく立ち回ることをおすすめします。
これを踏まえたうえで、どうすればお父さんに行動を起こしてもらえるかを、考えていきましょう。
まとめ
夫の攻略の鍵
- 夫の気持ちや考えを良く知る。夫の気持ちやプライドに寄り添いながら、夫を味方にする方法を模索する
夫のプライドの分析
- 家庭内での夫
- 強い男として、妻からは頼りにされる夫として、子どもからは尊敬の対象となるお父さんでありたいというプライドがある
- 会社内での夫
- 部下からは頼りがいのある先輩や上司として、上司からは信頼の厚い部下として認められたいという強い願望や意識がある
- お子さんが発達障害児とわかった夫の心境の分析
- ひとりで悩んでいるお母さんへの後ろめたさはある
- それ以上に、わが子にかかる問題解決に対する自信がもてない。世間体が気になる。うまくできなかったときの自分のプライドを守りたいという気持ちがある
- なかなか勇気を出せない。最初の一歩を踏み出せない
今回はここまでです。次回はお父さんに行動を起こしてもらうために、どうしたら良いのかを一緒に考えていきましょう。お楽しみに。