発達障害 学習姿勢の習得や学習習慣の定着(就労スキルを磨こう) <夏休みはスキルアップのチャンス!>

夏休みは時間がたっぷりありますので、家庭でさまざまなチャレンジができるチャンスです。日常生活では日中は学校がありますし、放課後も宿題があったりもしますので、親御さんもお子さんにゆっくり時間をかけて学ばせることができないと思います。
そういう意味では、夏休みはお子さんにしっかり寄り添って、さまざまなスキルを習得させる絶好のチャンスです。
とはいえ、何をしたらいいでしょうか。お子さんに習得させたいことは山ほどありますが、あれもこれもと欲張っていたら、親御さんもお子さんもパンクしてしまいますので、何か1つか2つくらいに絞って習得させたらいいと思います。
夏休みは長いとはいえ、できることには限りがありますから、習得させたいものを絞って集中的に行う方が合理的です。
何にチャレンジする?

多くの親御さんは、いずれはお子さんを一般企業に就労させたいとの考えを持たれているかと思います。
そうであれば、最低限でも就労する時期までに、下記の「就労を実現するための最低条件」をクリアしておく必要があります。これをクリアしておくことで、将来の就労の実現の可能性がアップしますので、習得させるスキルはこれに関連するものが現実的な対応だと思います。
- 就労を実現するための最低条件
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- 最低限の学習能力(簡単な読み書き能力、簡単な四則計算能力、簡単な判断能力)
- 就労スキル(清掃の仕事の場合は、清掃に関するスキル)
- ある程度の体力
- 最低限のコミュニケーション能力
- 協調性
なお、「就労を実現するための最低条件」については、こちらで詳しくお話しております。ぜひ、ご参照ください。
本来ならば、上記の5項目のすべてを少しずつ同時進行で進めていくのが理想なのですが、いきなりでは親御さんもお子さんの負担も大きいでしょう。
少なくとも、それぞれの項目について、ある程度の土台ができていないとむずかしいですから、最初は1つまたは2つくらいに絞って進めるのが現実的かと思います。
継続は力なり

1つだけ選ぶとすれば、まずは学習面での補完です。学校の宿題もあるでしょうし、基本的な学習は毎日継続的に少しずつ習得していくものです。普通学級に在籍のお子さんでは、1学期に学んだことの復習や2学期での予習もしておきたいところです。
学習というものは、やっている本人からすると、内容が理解できなくなってしまったり、わからなくなってしまったりすると本当に苦痛な作業になってしまいます。ですから、毎日少しずつでも継続して、少しずつでも理解の幅を広げていく必要があると思います。
夏休みだからといって、毎日の学習の習慣(毎日決まった時間に学習する習慣または家庭内ルール)をやめてしまうと、好ましい習慣が崩れてしまいますし、学習内容を忘れてしまうと、学習をすること自体が嫌になってしまうからです。
特別な日だけ免除するのは問題ないと思いますが、できる限り毎日継続することが重要です。やはり「継続は力なり」なのです。
大事な学習姿勢や学習習慣、できていますか?

ただ問題なのは、現時点でお子さんに基本的な学習姿勢や学習習慣ができていればいいのですが、そうではない場合です。お子さんの学習能力を、コンスタントにアップさせていくためには、基本的な学習姿勢や学習習慣を習得していることが前提になります。
基本的な学習姿勢や学習習慣を習得していないままでは、いくらお子さんに学習を促しても、お子さん自身があまりやる気をしめさなかったり、学習自体を拒否したりしてきますので、親御さんとしてはとてもやりにくいと思います。
基本的な学習姿勢や学習習慣ができていないお子さんの場合、どちらか一方だけではなくて、おそらく、両方ともできていない可能性が高いと思います。
この場合、どんなに親御さんが一生懸命にお子さんに学習を促しても、この状態では学習効率もとても悪いのではないでしょうか。親御さんとしては、お子さんの学習が遅々としてすすまないので、イライラしてしまうのではないでしょうか。
ここで私がいう学習姿勢ができていないというのは、どういう状況なのかについて、念の為、ご説明します。「学習姿勢」については、一般的には例えば、勉強する際の体の姿勢がどうかとか、鉛筆の握り方が正しいかということを想像される方がいるかもしれません。
もちろん、それも大切ですが、ここで私が申し上げたい「学習姿勢」とは、「学習に対するお子さんの心構え(お子さん自身に、前向きに学習しようとする気持ちが育っている)」です。
親御さんもイライラ、お子さんもイヤイヤ

学習することの重要性については、みなさん異論はないと思いますが、それがお子さんに十分に伝わっているかどうかということです。
多くのお子さんの場合、何となく「勉強はしないといけないのだろうな」くらいの意識はあると思いますが、親御さんに強く促されるから仕方なくやっているお子さんが多いと思います。それは、健常児でも発達障害児でも多くのお子さんの普通の感覚かと思います。
お子さんの学習姿勢が不十分だと、どうしても途中であきてしまい、ちょっとむずかしい課題にあたってしまっただけで、もうそれ以上学習を継続していくことが嫌になってしまいます。
私自身にも覚えがありますが、学習する目的が明確でなく、また、学習することの楽しさを知らないと、親から「勉強しろ」といくら言われても、嫌なものは嫌ですから、逆に親に反発して勉強嫌いになってしまうこともあるでしょう。
いずれにしても、この状態で無理にお子さんに学習をさせたとしても、学習効率はとても悪いと思います。親御さんもイライラさせられて、親子ともに精神衛生上悪い状態になってしまいます。ですから、この状態をいかに解消するかが課題になります。ですが、どうすれば良いのでしょうか。
夏休みは、絶好のチャンスです!

この状態を解消するには、お子さん自身の学習する目的を明確にする必要があります。
また、お子さん自身に学習することの楽しさを教えていく必要があります。さらに現状では、「学習が大事である」ことは親御さんだけの問題ですが、これがお子さん自身の問題にならないと改善はむずかしいと思います。
基本的な学習姿勢や学習習慣ができていないお子さんならば、それを習得させるにも夏休みは良い機会ではないかと思います。基本的な学習姿勢を育てるにはある程度時間がかかります。
そのような時間のかかる作業は、夏休みのような長い休みを利用するのが良いかと思います。基本的な学習姿勢が習得できていると、学習習慣の方はわりと容易に定着してくると思います。
まとめ
夏休みは就労スキルを磨くチャンス
- 就労スキルのなかでも、学習は毎日欠かさず行った方が良い
- 学習は内容が理解できなくなると、苦痛な作業になってしまう。したがって、毎日少しずつでも継続していく必要がある
- 学習を効率的にすすめるために
- 基本的な学習姿勢(前向きに学習しようとする気持ち)を習得しておくことが大事。これができていない場合、いくら学習を促してもお子さん自身がやる気をしめさなかったり、学習自体を拒否したりする
- 基本的な学習姿勢を習得してくると、学習習慣の方はわりと容易に定着する(夏休みは、学習姿勢を習得させる良い機会)
- 基本的な学習姿勢や学習習慣を育てるには
- 学習する目的を明確にする。学習することの楽しさを教える
今回はここまでです。夏休みは、お子さんの学習姿勢を習得させるにはとても良い機会です。次回は、お子さんの学習姿勢を習得させるにはどうしたらいいかについて、具体的に考察していきます。お楽しみに。