発達障害 お手伝いは就労スキルだけではなく、たくさんのメリットがあるチャレンジ! <夏休み、スキルアップのチャンス!>

「子どもにお手伝いをさせたいけど、どうやればいいのかしら…」と悩んでいるお母さん

前回は、お子さんの学習姿勢、学習習慣をどのように習得していけばいいかについて、お話ししました。また、学習姿勢を習得するためには、時間をかけてゆっくりと将来のビジョンについて親子で話し合い、お子さん自身にその答えを出させることが重要であることも、お話ししました。

お手伝いのメリット

お母さんのお手伝いをしている女の子

今回のテーマは、「お手伝いで就労スキルを磨こう」です。お子さんにお手伝いで習得できる効果は、就労スキルアップの他にもたくさんあります。私なりに考えてみた結果、以下のとおりたくさんあります。

どれも、発達障害のお子さんにとっては、将来に向かっての課題になるものばかりです。それをお手伝いさせるだけで習得できるのですから、チャレンジしてみる価値はとても高いと思います。

このお手伝いのチャレンジは、最初はなかなかうまくいかないことも多いかもしれません。また、親御さんとしてはイライラさせられる場面が多くあるかもしれません。

しかし、一旦歯車がうまく回り出すと、おそらく親御さんが期待していた以上の効果を得られると思います。一朝一夕でうまくはいかないとは思いますが、1つ1つ地道にクリアしていくことで、うまく攻略していきましょう。

<お子さんにお手伝いをさせることで得られる効果>
  1. 就労スキルをアップすることができる
  2. 生活のためのスキルがアップする
  3. お母さんの家事仕事が軽減される
  4. 家族内での役割の明確化
  5. 家庭内での居場所ができる
  6. 家族(他者)から必要とされる、役に立っている喜びを得る
  7. 自分の存在理由、存在価値を認識できる、自信につながる(自己評価が高くなる)

家庭内のお手伝いとはいえ、簡単なものから難解なものまでありますし、力仕事もあります。 それらの多くのお手伝いをお子さんがマスターできれば、お子さんは上記の多くのことを習得できます。

お手伝いは就労スキルに直結

就労した仲間たち

発達障害者が実際に就いている仕事は、単純作業の仕事が多いとはいえ細かい作業もあります。また、仕事は長時間に及びますから、集中力や忍耐力も必要です。これらを家庭で学ばせるには、お手伝いがピッタリです。

もちろん、実際の就労のようにはいきませんが、少しずつ、学べるメリットがお手伝いにはあります。また、お手伝いにはさまざまなものがあり、レベルの高いお手伝いでは、ある程度の経験やと知識が必要なもの、技能が求められるものもあります。

ですから、最初は難易度の低いお手伝いからスタートしますが、いずれは難易度の高いお手伝いをクリアできるようになれば、あなたのお子さんもお手伝いマスターになれるかもしれません。

このクラスになることができれば、高等特別支援学校の実習レベルに達しているかもしれません。いずれにしても、就労の実現に一歩近づいたことになります。

ここまでのレベルに達することができれば、日常生活も円滑に過ごせるようになります。独り暮らしも、多少の援助だけでできるようになっているかもしれません。将来の生活にも明るさが見えてきます。

お母さんも、お子さんも笑顔にする「お手伝い」

笑顔のお母さんと女の子

お母さんの家事負担も、お子さんのお手伝いレベルが上がってくるにつれて、徐々に軽減されていきます。ここまでくると、「お子さんにお手伝いをさせることで得られる効果」の①~③はクリアされていきます。

実は、①~③がクリアされていると④~⑦もクリアされている可能性が高いのです。

お手伝いができるようになると、家族のみんなから感謝されるようになります。(最初は、お母さんが積極的に心からの感謝の言葉を、お子さんにかけてあげてください。また、他の家族にも感謝の言葉をかけるように促してください)

そうすることにより、お子さんは褒められたことで、よりお手伝いを頑張るようになります。この意欲がより一層、難易度の高いお手伝いをガンバル動機につながっていきます。

さらにできることが増えてくると、さらに家族から大きな感謝と期待をうけて、お子さんのなかにもっと頑張ろうというモチベーションが形成されていきます。

好循環でお子さんは大きく成長していきます

やる気満々の男の子

この良い循環によって、お子さんは勢いを増して頑張ろうとするため、最終的には、かなりレベルの高いスキルの習得が期待できるのです。また、精神的にも大きな成長が見込まれることでしょう。

その間にお子さんは、自分自身が家族の役に立っている自信をつけるようになります。家族から必要とされていること、家庭内での自分の役割を強く認識できるようになります。

また、そのことで家族との信頼関係も感じられるようになれば、家庭内での自分の立ち位置(居場所)も認識できるようになって、精神的にも大きな安定感を得ることができるようになっているでしょう。

最終的には、お子さん自身の自分の存在理由、存在価値を認識できるようになり、自己肯定感にもつながっていくと思います。

その自信は、家庭内だけではなく就労の実現への自信にもつながっていきます。家庭内でお手伝いをさせることができれば、まったく、いいことずくめなのです。

お子さんにお手伝いをさせるにあたり、問題も…

悩んでいるお母さん

ここまでで、家庭内でできる就労スキルアップの手段として、お子さんにお手伝いをさせることができれば、就労スキルアップ以外にも多くの享受できるメリットがあることを、ご理解いただけたと思います。

ただし、現実にはお子さんの家庭内でのお手伝いをすすめるにあたり、上記のようにスムーズにはいかないと思います。その理由は、お母さん側の問題、お子さん側の問題があるからです。

お母さん側の問題としては、「お手伝いをさせるといっても何をさせればいいのか、よくわからない」「具体的にどう教えたらいいのか、よくわからない」といった事情があろうかと思います。

また、お子さん側の問題としては、前回「学習に前向きでないお子さんの対処法」をご紹介したように、お手伝いをさせたいのはヤマヤマだけれども、お子さんにその気がなければむずかしいものです。

お母さん側の問題、お子さん側の問題があったとしても、お子さんにお手伝いをさせるメリットはとても大きいですから、あきらめないでください。前向きに何とかこの問題をクリアさせていく方法を一緒に考えていきましょう。次回以降、この問題の解決策を順次ご紹介していきたいと思います。

今回のまとめ
夏休みはお子さんの就労スキルを磨くチャンス

お子さんにお手伝いをさせるだけで、就労スキルアップ以外にも大きなメリットがある

<お子さんにお手伝いをさせることで得られる効果>

  1. 就労スキルをアップすることができる
  2. 生活のためのスキルがアップする
  3. お母さんの家事仕事が軽減される
  4. 家族内での役割の明確化
  5. 家庭内での居場所ができる
  6. 家族(他者)から必要とされる、役に立っている喜びを得る
  7. 自分の存在理由、存在価値を認識できる、自信につながる(自己評価が高くなる)
お子さんにお手伝いをさせるにあたり、問題も…

お母さん側の問題

  • 「お手伝いをさせるといっても何をさせればいいのか、よくわからない」「具体的にどう教えたらいいのか、よくわからない」

お子さん側の問題

  • お子さん自身にお手伝いをしよう、お手伝いをおぼえようとする気がない

今回はここまでです。就労スキルアップのために、「お子さんにお手伝いをさせたい、おぼえさせたいけれどうまくいかない・・・」とお悩みの方も多いような気がします。

その原因は、お母さん側の問題かもしれませんし、お子さん側の問題かもしれません。両方の場合もあるでしょう。

ですが、あきらめずに頑張っていきましょう。次回は、このお母さん側の問題、お子さん側の問題をどう克服していくかについて、一緒に考えていきましょう。お楽しみに。