発達障害 家庭でできるお手伝い(就労スキルアップ)どうすればいい? <夏休み、スキルアップのチャンス!>

前回は、お子さんの就労スキルアップにお手伝いが最適であることをお話ししました。また、お子さんにお手伝いをさせること、お手伝いをおぼえさせることにより、就労のスキルアップ以外にも多くのメリットがあることも、お話ししました。
できることから始めましょう

多くのメリットがあるお手伝いですが、簡単にはうまくいかないのもお手伝いです。簡単にできればいいのですが、前回もお話ししましたが、お母さん側の問題(わが子にお手伝いをさせたいが、具体的に何をさせたらいいのかわからないなど)や、お子さん側の問題(お子さん自身にお手伝いをやる気がない)があります。
ですが、大きなメリットのあるお手伝いですし、お子さんの就労を目指すなら簡単にはあきらめたくないのも、お手伝いです。
お子さんにしっかり習得させるのは大変そうなお手伝いですが、お手伝いの内容を整理して少しずつ習得させていくことで、お母さんもお子さんの負担を減らすことができます。
何事も、一度にすべてやろうとしたらうまくいかないものです。少しずつできることから、コツコツと地道にやっていくのが、やはり王道だと思います。
今回、ご紹介するのは、お母さん側の問題の解決策です。ここで、みなさんにご紹介したいのは、お子さんの確実な成長を促すための方法です。最初は簡単なお手伝いから、徐々に難易度をあげていく方法をおすすめします。
お手伝いのハードル

お手伝いについては、具体的に何をさせたらいいのか悩むお母さんが多いと聞きますが、悩む必要はありません。普段、お母さんが家庭内でしている炊事、洗濯、掃除、その他の雑用の一部をお子さんの仕事として与えればいいだけです。
ただし、お子さんの年齢、能力、体力などを考慮する必要があるでしょう。また、複雑なお手伝いについては一度にすべて理解させることがむずかしいので、その工程を細分化して、少しずつ習得させる必要があると思います。
また、お子さんにお手伝いを教える作業はとても面倒な作業です。お子さんにお手伝いを教えることは重要な作業だと認識されている親御さんは多いと思いますが、なかなか徹底できないこともよく聞きます。
その理由は、お子さんがなかなか習得するのがむずかしいために、お母さんがイライラしてしまい、お母さんが「自分がやった方が早い」と思って手を出してしまうケース、お子さん自身がやる気をしめさないために、お手伝いが遅々として進まないケースなどがあります。
レッツ トライ!

なお、お子さんの成長に合わせて、与えるお手伝いもそれに合わせていく必要があります。
ですから、最初のお母さんの家事仕事の洗い出し作業、それを難易度毎に分別作業、難易度の高い仕事については、その工程を細分化して、お子さんに教えやすいように少しずつ習得できるように工夫が必要です。
最初だけはちょっと面倒な作業がありますが、あとはお子さんのレベルに合わせて、お手伝いをさせるだけです。
お母さんが、お子さんにお手伝いをさせる作業の手順としては、以下の作業となります。
- <作業手順>
-
- お母さん自身の家庭内での仕事の洗い出しの作業
- (1)で洗い出しした仕事を難易度毎に分類
- (2)で分類したもののうち、難易度の高い仕事については、その工程を細分化
作業手順 (1)
- <お母さんの家庭内での仕事の洗い出しの作業について>
(もっとたくさんあると思いますが、ここでは大まかなもののみを提示) -
- <朝> 布団の片づけ、新聞を取りに行く、指定ゴミを回収場所まで運ぶ、朝食の準備・片づけ
- <昼> 昼食の準備・片づけ、玄関の清掃、庭の清掃(草むしり)、屋内の清掃、洗濯、新聞(夕刊)・郵便物を取りに行く、買い物
- <夜> お風呂の準備(お風呂清掃を含む)、夕食の準備・片づけ、布団しき
作業手順 (2)
- <仕事を難易度毎に分類>
※下記の示した難易度は、私の独断による評価です。みなさんは別途評価をしてください。 -
- <難易度:1>新聞を取りに行く、郵便物を取りに行く、指定ゴミを回収場所まで運ぶ、食事の片づけ(食器洗いを含まない)
- <難易度:2>食事の片づけ(食器洗いを含む)、お風呂の準備(お風呂清掃を含む)、玄関の清掃、庭の清掃(草むしりを含む)、屋内の清掃、布団しき・布団の片付け
- <難易度:3>洗濯(洗濯物洗い、洗濯物干し、洗濯物たたみ)
- <難易度:4>食事の準備(調理を含む)、買い物
作業手順 (3)
- <難易度の高い仕事については、その工程を細分化する作業>
-
わりと難易度の高いお手伝いの1つに、「洗濯」があります。この全行程をお子さんに一度にマスターさせるのはかなりハードルの高いので、工程をいくつかに分割する必要があります。「洗濯」の工程を大まかに分けると、(1)洗濯物洗い(2)洗濯物干し(3)洗濯物たたみに分類できます。
- 「洗濯」の工程分割後の仕事とその難易度
-
- 洗濯物洗い <難易度:3>
- 洗濯物干し <難易度:2>
- 洗濯物たたみ <難易度:2>
上記の(1)洗濯物洗いの難易度だけ高く設定している理由は、他のお手伝いと比較して複雑な知識や判断を求められるお手伝いだからです。

(1)洗濯物洗いの手順は、
①洗濯物の洗濯表示による分別
②分別した洗濯物を洗濯
となります。
洗濯物洗いは、そのほとんどが洗濯機で行いますが、洗濯物の種類や分量にあわせて、洗剤や柔軟剤などの使い分けや使用量の調節が必要です。
洗濯物によっては、手洗いが必要ですし、汚れがひどいものはつけ置き洗いが必要になります。洗濯といえどもきちんとしようとすると、なかなか奥が深いものです。
上記の(1)洗濯物洗いをマスターするためには、洗濯機の操作方法、洗剤や柔軟剤の知識、衣類のタグについている洗濯表示の理解、手洗いやつけ置き洗いなどの知識の理解が必要となります。
また、経験による練度も必要となるでしょう。いずれにしても、相当のレベルが必要です。

(2)洗濯物干し(3)洗濯物たたみの難易度は「2」ですので、お手伝いで「洗濯」をマスターさせるときは、(1)から順番に教えるのではなく、(2)、(3)をマスターできてから(1)にチャレンジするように難易度の低いお手伝いからマスターさせるのが順当だと思います。

なお、「洗濯」お手伝いなどは、お母さんが教えながら子どもと一緒にできるお手伝いです。お子さんとコミュニケーションを深めながら、できるお手伝いでもあります。
また、お子さんのお手伝いレベルが上がっていくにつれ、お母さんの家事負担が大幅に減っていきます。
お手伝い、もう1つのメリット

妻がいうには、お子さんのお手伝いミッションが最も本領を発揮するのは、お母さんの体調不良のときだそうです。体調の悪いお母さんに代わって家事仕事をやってもらうのに、夫はあまり頼りにならないのだそうです。
家事仕事をお母さん好みの仕様でお子さんに仕込んでおけば、お母さんのストレスなくお子さんに家事仕事をやってもらえるので、これが最も大きなメリットだそうです。
確かに、妻の体調不良時に良かれと思って家事仕事を手伝ったことがありましたが、自分のやり方と違うと妻から苦情を言われたことがあったことを思い出しました。
まさに、お母さん、お子さんともにメリットのあるのが、お手伝いミッションです。
補足「指定ゴミを回収場所まで運ぶ」

※「指定ゴミを回収場所まで運ぶ」作業については、ここでは<難易度:1>に指定していますが、本来はもっと難易度の高い作業です。具体的に説明すると、ゴミを指定場所に出しに行くだけの作業なら<難易度:1>です。
ゴミの分別のルールをお子さんに理解させ、お住まいの地域のゴミ収集日の日程まで理解させるとすれば、<難易度:4>くらいにはなるかと思います。いずれは独り暮らしをする前提でしたら、そのときまでにおぼえさせるようにしましょう。
なお、このゴミ分別収集の課題については、某高等特別支援学校の入試の過去問題にも出題されています。これについては、いずれまたの機会にご紹介します。
- 夏休みはお手伝いで、お子さんの就労スキルを磨くチャンス
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お手伝いは、就労スキルアップ以外にも大きなメリットがある反面、問題も…
- お母さん側の問題(わが子にお手伝いをさせたいが、具体的に何をさせたらいいのかわからないなど)
お母さん側の問題の解決策
- お母さんが家庭内でしている炊事、洗濯、掃除、その他の雑用の洗い出し作業および難易度毎に分類作業等
<作業手順>
- お母さん自身の家庭内での仕事の洗い出しの作業
- (1)で洗い出しした仕事を難易度毎に分類
- (2)で分類したもののうち、難易度の高い仕事については、その工程を細分化
- 難易度の低いお手伝いから、少しずつマスターさせていく
今回はここまでです。夏休みお手伝いミッションで、お母さん側の問題の解決策をご紹介しました。次回は、お子さん側の問題です。お楽しみに。