発達障害 家庭でできるお手伝い(就労スキルアップ)お子さんのお手伝いへの動機がさらにアップ <夏休み、スキルアップのチャンス!>

前回は、お子さんがお手伝いを嫌がる理由の分析、お子さんが自分から積極的にお手伝いをするには動機が必要なこと、また、その動機の引き出し方について、お話ししました。
今回は、お子さんのお手伝いへの動機を、さらに強固なものにするためにどうしたらいいかについてのお話しです。
お手伝いのメリット

元々、この夏休みに家庭で簡単にできるお手伝いをご提案した理由は、お手伝いがお子さんの就労スキルアップに有効だからです。また、お手伝いは、就労スキルのアップ以外にも、さまざまなメリットが期待できるからです。
- お子さんにお手伝いをさせることで得られる効果
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- 就労スキルをアップすることができる
- 生活のためのスキルがアップする
- お母さんの家事仕事が軽減される
- 家族内での役割の明確化
- 家庭内での居場所ができる
- 家族(他者)から必要とされる、役に立っている喜びを得る
- 自分の存在理由、存在価値を認識できる、自信につながる(自己評価が高くなる)
上記の<お子さんにお手伝いをさせることで得られる効果>のなかで、お子さんに関する事項は(3)以外すべてです。(3)も大好きなお母さんのためと考えれば、お子さんにとっては、親孝行ができる良い機会とも言えます。
前回は、(4)~(7)の効果からお子さんにとって大きなメリットがあるだけではなく、お手伝いを積極的にするための大きな動機になり得ることをお話ししました。さらに(1)、(2)も、お子さんのお手伝いをガンバルための大きな動機になりえるのです。
子ども自身は自分の将来をどう考えている?

発達障害のお子さんの将来を、心配されている親御さんは多いかと思います。お子さんの具体的な将来像としての理想は、将来の幸せな生活です。将来の幸せな生活は、衣食住が足りていて、さらに余暇も充実していることです。
将来の幸せな生活の裏づけになるものは、就労によって得られる賃金ですから、就労の実現は是非とも達成したいところです。
将来の幸せな生活の実現のために、もう1つ必要な裏づけは、(ある程度の家族のアシストは必要となるでしょうが)自立した生活をする力です。
例えば、独り暮らしはとてもハードルが高いので、健常者とまったく同等の自立生活はむずかしいと思います。しかし、家族と同居でも就労が実現していて生活費などを賄えるとすれば、経済的な自立ができているといえると思います。
また、たとえ自立した生活をする力が限定的だったとしても、やはりできる限りの自立した生活の確立は必要です。そのためにも、できる限り他者の手を借りずに、自力でできることを1つでも多くしておきたいものです。
将来の生活などに関して、あなたのお子さん自身はどう考えているでしょうか。お子さんがまだ小学生くらいのうちは、将来のことは漠然としていてあまり真剣に考える機会は少ないと思います。
しかし、学齢期が終盤に近づくにつれて、お子さん自身も自分の将来について考える機会が増えてきて、何となく不安感を抱えるようになってきます。早ければ、中学生になったあたりから、高校はどうしようとか、その先の生活についても気になってくるかと思います。
お子さんとお子さんの将来について、十分に話し合いましょう

親御さんがお子さんとお子さんの将来について話し合うとすれば、将来の生活や就労のことなど、多岐にわたると思います。
できれば、お子さんが小学生の頃から、ゆっくりと話し合い、お子さんに少しずつ自覚を持たせていくことをおすすめします。
お子さんとの話し合いは、コミュニケーションが深まることも期待できますし、お子さんのコミュニケーション能力アップも期待できますので、いいことずくめです。
話し合う内容は、お子さんを不安にさせるような内容ではなく、前向きに将来の幸せな生活を構築していくような内容であってほしいと思います。
そのなかで、お手伝いの必要性についても十分に話し合ってください。元々お子さんは、「勉強でも、お手伝いでも、何でしなくてはならないのだろうか?」という素朴な疑問を抱いています。
また、そのことを親御さんに意思表示するときは、その裏には「勉強も、お手伝いも、やりたくない」というもう1つの感情があることを、前回お話ししています。また、子どもがお手伝いを嫌がる理由は、勉強を嫌がる理由と同じ理屈であるとも、お話ししました。これらについては、こちらをご参照ください。
- 子どもがお手伝いを嫌がる理由
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- 面倒だから、お手伝いしたくない。(スマホやゲームなどでもっと遊びたい)
- お手伝いをうまくやる自信がない。(いくら頑張ってもうまくできないから、もうやりたくない)
以前のブログ記事に、お勉強ができる子、学業成績の良い子の多くは、「学習姿勢」ができていますし、「学習に対する本人の心構え(お子さん自身に、前向きに学習しようとする気持ちが育っている)」もできているとお話ししました。
また、「学習姿勢」ができている子は学習目的が明確ですし、学習を通してさまざまなことを理解できていて、勉強することの楽しさを知っていることもお話ししました。これらについては、こちらをご参照ください。
お手伝いでも同じことがいえます。お手伝いを積極的に前向きにできる子は、お手伝いをする姿勢「お手伝いに対する本人の心構え(お子さん自身に、前向きにお手伝いして仕事をおぼえようとする気持ちが育っている)」ができています。
お子さんと話し合う内容は…

お手伝いをする姿勢ができている子は、お手伝いをする目的も明確です。また、お手伝いをすることを楽しんでいます。お手伝いをすることで、仕事を1つ1つおぼえることに喜びを感じています。
ですから、お子さんとお手伝いに関して話し合う内容は、お手伝いをする目的です。また、お手伝いをすることを通じて、仕事をおぼえることができる喜びについてです。
お手伝いをすることの最大の目的は、就労スキルのアップで就労の実現です。
また、その他にも多くのメリットがあることです。
さらに、お手伝いを通じて1つ1つ仕事をおぼえることで、日常生活の幅が大きく広がります。日常生活でできることが増えることは、生きていく自信にもつながり自己肯定感も育てることができます。
これらのことを親子で十分に話し合うことを、おすすめします。話し合いのなかで、お子さんが良い答えを出せるように、親御さんが多少、誘導することが必要になるかと思います。
しかし、答えは親御さんがすべてを言わずに、お子さん自身にじっくり考えさせたうえで、出させるようにしましょう。お子さん自身が自分で出した答えですから、きっとお手伝いをガンバル大きな動機になると思います。
まとめ
夏休みは就労スキルを磨くチャンス
お子さんのお手伝いをする姿勢「お手伝いに対する本人の心構え(お子さん自身に、前向きにお手伝いして仕事をおぼえようとする気持ちが育っている)」を確立するために
- お手伝いをする目的を明確にする
就労スキルアップで就労を実現
- お手伝いをすることで、仕事を1つ1つおぼえることの喜びを教える
日常生活の幅が広がる
将来の幸せな生活の実現
- 就労の実現(お手伝いで就労スキルアップ)
- 自立した生活をする力の育成(できる限り他者の手を借りずに、自力でできることを1つでも多く習得して、日常生活の幅を広げる)