サリーとアンの課題 あなたのお子さんも一度はチャレンジしてみよう

「サリーとアンの課題」とは

発達障害児(自閉症児)の思考(発達障害児がどのように思考するのか)について、理解するのに「サリーとアンの課題」はかなりわかりやすい事例だと思います。
これについては、知っている方も多いと思いますが、改めてご紹介します。
サリーとアンの課題
1つの部屋にサリーとアンがいます。部屋には「サリーの青い箱」と「アンの赤い箱」が置いてあります。

サリーはお気に入りのビー玉を「サリーの青い箱」の中に仕舞いました。

サリーは部屋から出ていきました。

アンは、「サリーの青い箱」からビー玉を取り出し、「アンの赤い箱」の中に仕舞いました。

アンは部屋から出ていきました。

サリーが部屋に戻ってきました。お気に入りのビー玉で遊ぼうとしています。さて、サリーはどこを探すでしょうか。

サリーは、「アンが勝手にビー玉を「サリーの青い箱」から取り出し、「アンの赤い箱」の中に仕舞ったこと」を知らないわけですから、この課題の正解は「サリーの青い箱」です。
しかし、サリーのお気に入りのビー玉はどこにあるかというと、「アンの赤い箱」の中です。
「サリーとアンの課題」重要なポイント

「サリーとアンの課題」の重要な点は、サリーのビー玉がどこにあるかということを聞いていません。
サリーがどこを探すかを聞いています。
上記の前提からステップ3までの流れを知っていると、サリーのビー玉が、今どこにあるかがわかります。
ですが、ここで聞かれているのは、サリーの気持ちです。
サリーは、上記のステップ2以降の流れを知りません。
サリーが認識しているのは、お気に入りのビー玉を「サリーの青い箱」の中に仕舞ったところまでであり、アンが勝手にビー玉を移動させたことを知らないのです。
発達障害児に、「サリーとアンの課題」を聞くと、「サリーは「アンの赤い箱」の中を探す」という答えが返ってくることが多いそうです。
では、なぜ、発達障害児はそう答えることが多いのでしょうか。
この課題での客観的な事実関係は、「(サリーの知らないところで)ビー玉がアンによって、「サリーの青い箱」から「アンの赤い箱」に移されてしまった」ということです。
ですから、最終的にビー玉は「アンの赤い箱」の中にあるということが、この課題での客観的な事実となります。
この課題では、ビー玉が現在どこにあるのかという客観的な事実は、比較的わかりやすいです。
だから、発達障害児の多くは、この客観的な事実を答えがちなのではないかと考えています。
ここが難しいのです

ただし、ここで注意すべき点は、この課題が客観的な事実関係を聞いておらず、サリーの気持ち(サリーが、ビー玉がどこにあると考えているか)を聞いているところにあります。
この課題の肝は、ビー玉が移された事実を、アンは知っているが、サリーは知らないというところにあります。
ですから、この課題で正しい答えを導き出すためには、「ビー玉が移された事実を、サリーが知らない」ということを理解できることが必要になってきます。
ですが、サリーの気持ちを理解するというプロセスが、この課題を難解なものにしています。
それで、発達障害児にはむずかしくなっているのです。
この課題を解くためには、ステップ毎にサリーやアンがビー玉の行方について、どのように認識しているかを、理解していく必要があろうかと思います。
まとめ
サリーとアンの課題が発達障害児にはむずかしい理由
- 事実関係
- サリーのビー玉は、アンが「サリーの青い箱」から「アンの赤い箱」に移動させたため、最終的にビー玉は「アンの赤い箱」にある
- 発達障害児にも、わかりやすい
- 課題の内容
- サリーがビー玉を探すのに、どこを探すかを聞いている
- サリーは、アンがビー玉を移動させたことを知らない
- サリーは、「サリーの青い箱」の中にビー玉があると思っている
-
発達障害児には、とてもわかりにくい
したがって、発達障害児は、わかりやすい事実関係を答えてしまう傾向がある
今回はここまでです。
次回は、「サリーとアンの課題」について、発達障害児にスモールステップで理解させる方法をお話しします。お楽しみに。