サリーとアンの課題 スモールステップで完全攻略!

スモールステップで理解しよう

前回、発達障害児にとって「サリーとアンの課題」がむずかしい理由について、お話ししました。
今回は、「サリーとアンの課題」について、発達障害児にスモールステップで理解させる方法をお話しします。
わかりやすく補足してみましょう

サリーとアンの課題
※赤字は、サリーとアンのそれぞれの気持ち
※青字は、現在のビー玉の位置
1つの部屋にサリーとアンがいます。部屋には「サリーの青い箱」と「アンの赤い箱」が置いてあります。

サリーはお気に入りのビー玉を「サリーの青い箱」の中に仕舞いました。
「サリーもアンも、現在ビー玉が「サリーの青い箱」の中にあると知っています」
「ビー玉は、『サリーの青い箱』の中」

サリーは部屋から出ていきました。
「サリーもアンも、現在ビー玉が「サリーの青い箱」の中にあると知っています」
「ビー玉は、『サリーの青い箱』の中」

アンは、「サリーの青い箱」からビー玉を取り出し、「アンの赤い箱」の中に仕舞いました。
「アンは、ビー玉が「アンの赤い箱」に移されたことを知っています。だから、アンは、現在ビー玉が「アンの赤い箱」の中にあることを知っています」
「ビー玉は、『アンの赤い箱』の中」

アンは部屋から出ていきました。
「アンは、ビー玉が「アンの赤い箱」に移されたことを知っています。だから、アンは、現在ビー玉が「アンの赤い箱」の中にあることを知っています」
「ビー玉は、『アンの赤い箱』の中」

サリーが部屋に戻ってきました。お気に入りのビー玉で遊ぼうとしています。さて、サリーはどこを探すでしょうか。
「サリーは、ビー玉が「アンの赤い箱」に移されたことを知りません。だから、サリーは、現在ビー玉が「サリーの青い箱」の中にあると思っています」
「ビー玉は、『アンの赤い箱』の中」

気持ちの推移を理解させましょう

この課題をした発達障害児にとって、理解しやすい方法をご紹介します。
課題全体の客観的な事実関係の理解。(ビー玉が「サリーの青い箱」から最終的に「アンの赤い箱」に移された)
ステップ毎にサリーとアンの気持ちも同時に描写する。
サリーとアンのそれぞれの気持ちの推移もとてもわかりやすくなる。
お子さんにこの課題を理解させる場合には、各ステップ毎のビー玉の位置を確認させると同時に、サリーとアンのそれぞれの気持ち(現在ビー玉がどこにあると思っているか)を理解させる必要があります。
特に、サリーとアンの気持ちについては、発達障害のお子さんにはわかりにくいので、ステップ毎に時間をかけて理解させるようにしましょう。
理解のステップ
(ビー玉が「サリーの青い箱」から最終的に「アンの赤い箱」に移された)
ステップ毎にサリーとアンの気持ちも同時に描写
この課題では、本筋のストーリーから外れて、例えば「どうしてアンは、ビー玉を自分の箱に移したのかな?」という問いを、お子さんと一緒に考えてもいいと思います。
答えの例としては「きれいなビー玉だったので、アンはどうしても欲しいと思って、サリーに言わずに勝手にもらってしまった」など、いろいろ想定できると思います。
このようにして、少しずつお子さんの感性を鍛えるといいと思います。
国語の長文問題などでは、行間の意味を問うような問題がよく出題されます。
行間の意味を問うとは、実際には書かれていないことを、前後の文章から筆者の言いたいことを読み取ることです。
少しずつ行間の意味を理解できるように…

例えば、「サリーとアンの課題」が1つの物語だとすれば、黒字で記した部分が文字として記載されています。
黒字からの情報ですぐにわかる内容が、青字で記した箇所であり物語の客観的な事実です。
そして、実際に赤字で記した部分が行間にあたるかと思います。
黒字…物語を文字として記載された部分
青字…物語からすぐわかる客観的な事実
赤字…行間にあたる部分(物語からすぐに理解するのがむずかしい登場人物の気持ちや感情)
こういったことは、日常の生活のなかでも良くあることです。
発達障害児が、コミュニケーションが苦手なのは、日常会話でも「会話と会話の間にある、相手の真意を理解できない」ことが多々あるからです。
ここで、親御さんが「そういった人の気持ちや感情の機微を理解できないのが、発達障害なのだから、そんなことを教えること自体がナンセンスだ」と言ってしまえば、お子さんの成長はそこで止まってしまいます。
私は、発達障害児でも練習すれば、ある程度は理解できるようになると考えています。
もちろん、一度にすべてを理解することはできなくても、少しずつ理解の幅を広げていくことは十分可能だと考えています。
その証拠に、息子も今では「サリーとアンの課題」を理解できるようになっていますし、日常の会話でも、ある程度「行間」を理解できるようになっています。
今回の課題は、コミュニケーション能力にもつながるところなので、少しずつでも理解できるように、ぜひ、頑張ってください。
まとめ
サリーとアンの課題を理解させるヒント
- 事実関係だけの理解では、行間に隠された筆者の考えや登場人物の気持ちや感情など、正しい答えを導き出せない
- ステップ毎にサリーとアンのそれぞれの気持ちや感情を考えさせ、お子さんに理解させる
- 本筋のストーリーから外れて、別の質問をしてみるなど、お子さんの考える幅を広げる練習もおすすめ
今回はここまでです。
次回は、息子の「サリーとアンの課題」へのチャレンジについて、お話しします。お楽しみに。