発達障害児の理解力アップへの課題 「相手の気持ちを読み解く能力」「協調性」を育てよう

前回、「人の気持ちや感情を理解して、コミュニケーション能力をアップする方法」について、ご紹介しました。
- コミュニケーション能力を構成する要素
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- 基本的な言語能力(読み書き能力)
- 相手の話を聞く能力(相手が話すことを聞き、相手が話す内容を正しく判断する)
- 相手の表情から、相手の気持ちを読み解く能力(表情から、喜怒哀楽などの感情を推測する)
- 協調性(話し相手と仲良くなりたいと思う謙虚な気持ち)
発達障害のお子さんのコミュニケーション能力をアップするために、上記の要素を1つ1つあせらずにゆっくりと確実に、習得させていきましょう。今回は、前回の続きです。
前回のお話は、こちらです。
(3) 相手の表情から、相手の気持ちを読み解く能力(表情から、喜怒哀楽などの感情を推測する)

コミュニケーションの基本は会話です。人と人とがお互いに気持ちの理解を深めることができるのが、会話だからです。
できれば、直接会って膝をつき合わせての会話であれば、さらに分かり合える可能性が高くなります。同じ会話でも、電話での会話よりも直接会って話し合う方が、コミュニケーションが深まるのは、どうしてなのでしょうか。
健常児同士のコミュニケーションでは、言葉以外にも相手の気持ちを判断する材料がたくさんあります。
相手の表情を見れば何となく、相手の感情が察せられます。会話の途中で相槌があれば、相手は自分の話をよく理解しようとする姿勢が伝わってきます。
声の大小も、いつもより大きければ、相手の表情とセットでの判断で、相手が怒っているのか、大事な話なので特にきちんと理解してほしいと思っているかなど、何となく伝わってきて、何となく理解できるものです。
直接会って話すとコミュニケーションがより深まるのは、お互いに相手に配慮し合ったり、相手に対する好意の意思が、言葉だけではなく表情、優しい声や態度などが相手に伝わるからです。
健常児同士では、言葉だけではなく、表情の変化などの機微を含めて理解し合えるからです。
相手との会話で、相手の真意まで理解できるようになるには、(2)相手の話を聞く能力、および(3)相手の表情から、相手の気持ちを読み解く能力がある程度上達する必要があります。

一方、発達障害児がコミュニケーションを苦手とする理由の1つに、人の表情を読み取ることが苦手なことがあります。相手の顔を見ても、喜怒哀楽がうまく理解できないために、特に相手が怒っているときも、いつものように接してしまうためにトラブルが生じることもあります。
ですから、これが苦手なお子さんには、相手の表情から喜怒哀楽の感情を読み取る練習が有効だと思います。ただし最初は、現実の人の顔ではなく、イラストの表情から練習することをおすすめします。
※リンク先の練習キットは、きっとあなたのお役に立つと思いますが、利用規約がありますので、必ずご確認のうえ、利用規約の範囲内でご利用ください。
もっと練習したい人は、こちらのカードもおすすめです。カードで楽しみながら「話す力」を身につけられます。人の表情のカードもあり、コミュニケーション能力を育んでいけます。「学習の進め方ガイド」もついているので、安心して始められるのもいいです。
息子の時は、手作りのカードで練習していましたが、今は便利な教材があるので、すぐに取り組めていいですね。
人が笑っている、怒っているなどの表情はわかりやすい人もいれば、わかりにくい人もいます。
また、日本人の「本音と建前」の文化も、表情だけでは人の感情をよりわかりにくくしているような気がします。ですから、上記の練習キットなどを利用して、イラストで少しずつ練習を重ねていくことで、実際の人の感情を理解させていくことができます。
イラストでの練習で、人の感情を理解することができるようになったら、次は実際の人の表情での練習です。
(4) 協調性(話し相手と仲良くなりたいと思う謙虚な気持ち)

協調性は、集団生活に不可欠なものです。コミュニケーション能力の根幹にあるものです。協調性があるだけで、発達障害児に起こりうる人間関係のトラブルの大半は解消されるものです。
協調性は、自分を抑えて相手に配慮する気持ちや感情ですから、自分を抑えて我慢をしなければならない局面も出てきますから、習得させるのは大変な作業です。
ですが、学校生活や就労などの集団生活では、どうしても避けられないものです。年齢を重ねるとそれだけ習得させるのが大変になっていきますので、早めにお子さんに習得させることをおすすめします。
なお、協調性については、こちらでも詳しくご紹介していますので、ご参照ください。きっとあなたのお役に立てると思います。
まとめ
コミュニケーション能力アップ
- 基本的な言語能力(読み書き能力)
知育玩具を上手に利用して言語能力を伸ばそう
- 相手の話を聞く能力(相手が話すことを聞き、相手が話す内容を正しく判断する)
相手の話をしっかりと聞いて、相手の話すことを十分に理解する練習が有効
- 相手の表情から、相手の気持ちを読み解く能力(表情から、喜怒哀楽などの感情を推測する)
最初は、イラストの表情から練習することをおすすめ。その後、現実の人の顔で練習
- 協調性(話し相手と仲良くなりたいと思う謙虚な気持ち)
協調性は、自分を抑えて相手に配慮する気持ちや感情。早めの習得をおすすめ
今回はここまでです。次回は、「発達障害児のワンランク上の理解力アップへの挑戦」について、お話しします。お楽しみに。