これで発達障害のお子さんも好感度アップ(初級編~中級編)

以前、当ブログの記事に、発達障害児の就労を実現するための最低条件の1つにコミュニケーション能力をあげたことがあります。
就労の実現にはコミュニケーション能力を高める必要があります。就労の実現以外にも、生活するうえでコミュニケーション能力は高い方が良いのは言うまでもないと思います。
みなさんも、コミュニケーション能力が大事なことは、何となくお感じになっているかと思います。
ですが、やはり具体的に、コミュニケーション能力がどう大事なのか、なぜ大事なのかについて、もっと深くご理解いただいた方が良いと思います。
なお、発達障害児の就労を実現するための最低条件については、こちらをご参照ください。
そこで今回は、コミュニケーション能力の前に、まずは、コミュニケーション自体の基本から応用編まで、レベル毎に考察していきたいと思います。
レベル別にコミュニケーションを考えましょう
コミュニケーションに対する考え方はさまざまです。
人間関係においてそれが重要だという認識は、職場の方々や学校の先生も同じだと思いますが、やはりそれぞれで若干考え方は違うのではないかと思います。
例えば、学校の先生は、適切な人間関係を構築するうえでコミュニケーションは大事と感じつつも、学校の授業などでは、あいさつ重視のところで留まっているような気がします。
もちろん、あいさつは人間関係を構築するうえでとても重要なコミュニケーションツールですが、果たして、これだけで十分といえるのでしょうか。
(コミュニケーション レベル1)あいさつ

コミュニケーションの基本は、あいさつです。
朝の気持ちの良いあいさつひとつで、澱んだ空気がきれいになるようなさわやかな気持ちになれます。学校の先生もあいさつについては、とても重視しています。
学校全体で、あいさつの練習をさせている学校もあるくらいです。
小売業では、朝礼の後にあいさつの練習を大声でしているシーンをテレビでもよく見かけます。それくらいにポピュラーですから、あいさつが大事なことは誰にも異論がないと思います。
あいさつには、朝のあいさつ、お客様を迎えるときのあいさつ、帰りのあいさつの他にも、親切にしてもらったら、お礼のあいさつ、何か不都合なことをしてしまったら、謝罪のあいさつなど、あいさつにもいろいろとあります。
最低限でもあいさつくらいはマスターしておきたいところですが、これだけでは、会社生活で求められるコミュニケーションという意味では、とても不十分です。
(コミュニケーション レベル2)報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)

会社内でのコミュニケーションでは、あいさつ以上に重要なのが、「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」です。
あいさつは、人間関係の潤滑油として重要ですが、仕事自体に直結していません。仕事に直結しているのは、「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」だからです。
「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」がなぜ重要かと言えば、ちょっとしたミスや失敗が、工場などでは大事故につながったり、会社に大損害をもたらすことがあるからです。
何らか問題点があればすぐに報告し、上司の指示を仰ぐことは、会社生活の中では基本です。
問題点があっても、早めに手を打つことができれば、被害は最小限に防ぐことができます。特に、その原因が、社員本人にあったとすればなおさらです。
また、会社というところは、ひとりで仕事をしているわけではありません。多くの人が連携し合って、仕事が成り立っています。
ですから、連絡はとても大事です。別の人に仕事を引き継ぐときにも、十分な引継ぎが無ければ、その都度仕事が停滞してしまうことになります。
また、仕事をしていれば、何らかの壁にぶち当たることも良くあることです。会社というところでは、何らかの問題があっても1つ1つ解決しながら仕事をすすめていきます。
ひとりでは解決できない場合には、上司や同僚に相談します。ひとりで解決できない問題も、チームで知恵を出しながら解決を図っていくものです。

ですから、会社のコミュニケーションとして、「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」はあいさつ以上に、重要な位置づけであることを、ご理解いただけたでしょうか。
学校では、コミュニケーションといえば、あいさつばかりを重視しているような気がします。「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」についても、学校ではまったく教えていないわけではないと思いますが、あいさつ以上に重視すべきと考えています。
なお、あいさつや「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」については、家庭でも練習することができます。あいさつの練習は、簡単なので割愛します。
「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」の絶好の練習の機会は、お手伝いです。なお、この練習はわりとむずかしいので、お手伝いの内容にもよりますが、年齢的には少なくとも小学校の高学年から中学生以上を想定しています。
お手伝いは何でもいいのですが、例えば、ホットケーキ作りはどうでしょうか。まずは、簡単な手順書(お子さんが理解できる程度のもの)を作成してください。

手順書の例
(1) | ホットケーキのレシピをインターネットで検索(好きなレシピの決定) | ||
(2) | 材料と調理器具の準備 | ||
材料や器具の場所がわからない場合 | ⇒ | 相談 | |
準備ができたら | ⇒ | 連絡・報告 | |
(3) | 材料の計量 | ||
材料や器具の場所がわからない場合 | ⇒ | 相談 | |
準備ができたら | ⇒ | 連絡・報告 | |
(4) | レシピを確認しながら、調理開始 | ||
ボウルでかき混ぜの手順などわからない場合 | ⇒ | 相談 | |
フライパンにしく、油の量、焼き加減などわからない場合 | ⇒ | 相談 | |
焼きあがったら | ⇒ | 連絡・報告 | |
(5) | 焼けたホットケーキを皿に盛り付け | ⇒ | 連絡・報告 |
(6) | ホットケーキにバターを乗せ、メープルシロップをかける | ⇒ | 連絡・報告 |
手順通りにホットケーキを作らせます。途中で適宜、中間の「連絡・報告」をさせることで、作業や手順に問題がないかを確認します。火を使う作業では、十分に注意を促してください。
「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」の練習については、料理の他にも買い物、洗濯のお手伝いなど、いろいろとアレンジしてみてください。
今回は、あいさつ、および「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」について、ご紹介しました。
これらは、コミュニケーションツールとしては、とても重要です。ですがこれだけでは、コミュニケーション能力を高めていくには、まだまだ不十分なのです。
- コミュニケーションの基本
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- コミュニケーションの基本は、あいさつ。
- 会社でのコミュニケーションの基本は、「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」
あいさつ、「報告・連絡・相談(ホウ・レン・ソウ)」は家庭でも練習させよう
今回はここまでです。コミュニケーションというテーマは意外と奥が深いのです。次回は、意外と奥の深い会社のコミュニケーションの問題点について、ご紹介します。お楽しみに。