いじめに負けるな 私と息子のいじめ解決奮戦記 ⑨ 息子へのいじめ完全解決編

前回は、息子の担任の先生が中心となって、学校がいじめ対策に動き出したお話をしました。
期待以上の対応をしていただき、今でも感謝しています。
詳しくは、こちらをご参照ください。
今回は、シリーズの最終話です。数年にわたる闘いの末、いじめが完全に解決します。

本文には、かなり衝撃的な内容も含まれますので、ご注意ください。(ショックをうけやすい方は、お読みにならない方がいいかもしれません)
主な登場人物
- いじめ加害者
- いじめリーダー格の兄弟(息子とは学年が違う)
(以下、A兄:当時、小学6年生⇒中学1年生、A弟:当時、小学4年生⇒小学5年生) - ※いじめの取り巻きの児童:C(当時、小学6年生⇒中学1年生:息子へのいじめの関与あり)の他、複数人あり
- いじめ兄弟の母親(以下、A母親:小学校のPTA幹部を辞めるも、A兄の中学入学に伴い中学校のPTA幹部に就任)
- いじめ被害者
- 息子(当時、小学5年生⇒小学6年生)
- 小学校側
- F学年主任(以下、F主任。息子が5、6年生時の担任の先生)
- 中学校側
- 校長
- 教頭
いじめまたもや再発、今度は現行犯(息子、5年生の冬)

息子へのいじめは、ほとんどが明確な証拠や目撃証言がなかったので、息子の証言に頼っていたのですが、目撃証言が明確にあったケースもありました。
前回のいじめから、さらに数か月後で、季節は既に秋から冬へなろうかという頃でした。
それは、校内イベント時に発生しました。
イベントは「縦割りで遊ぼう」という校内企画で、児童を住居地区ごとに分けて、学年に関係なく交流を深めながら遊ぼうというものです。
息子とA兄弟、Cとその他の取り巻きも同じ地区ですから、一緒に遊ぶことになりました。
まだ、兄貴がいた頃は簡単に手出しができなかったようですが、兄貴が卒業してしまったため、格好のいじめの対象となったようでした。
具体的ないじめの概要については、当初は穏やかにボール遊びをしていたようですが、A兄弟が息子のボールをぶつけたのがきっかけになり、一緒に遊んでいたみんなが、息子にボールをぶつけ始めたとのことでした。
校内を巡回していた先生が、たまたまそのようすを発見し発覚したものです。

先生が発見したときは、ボールをぶつけていたのはA兄弟とCだったので、この3人と息子からヒアリングを実施したうえで、学校側はすぐにいじめ案件と判断して、3人には息子に謝罪させたとの連絡が、F主任からありました。
翌日、この件に関してF主任から追加の連絡がありました。
あの後、A母親から「(いじめをしたのは)うちの子だけですか」とものすごい剣幕で抗議してきたとのことでした。

これにはF主任も呆れてしまい、A母親に対しては

いじめを主導していたのは、あなたのお子さんですよ。
仮に他の児童も加担していたとしても、まず言うことはそれですか。
いじめの被害者に対して、申し訳ないというお気持ちがないのですか
と、注意してくれたとのことでした。
私は、F主任に適切な対応について、感謝を伝え今後も引き続き警戒をお願いしました。
なお、後日、その他のいじめに加担していた子どもたちからもヒアリングを行い、息子へ謝罪させたとの連絡もありました。
息子のいじめに関しては、最初は苦労の連続でした。

しかし、F主任と出会い信頼関係を深めていく過程で連携して、いじめの問題に取り組むことができたことは、幸運だったと思っています。
下校時の付き添いを終了(息子、6年生の新学期を迎えて)

息子が5年生時のいじめの発生は、この2回くらいだったと記憶しています。
F主任を中心としたいじめ対策が、徐々に児童たちに浸透していった成果だと思います。
その後、息子が6年生に進級した際、加害児童A兄の卒業を機に、息子の下校時の付き添いを終了していただきました。
これまでご負担をおかけした先生方に、お礼を申し上げました。
この頃の息子へのいじめは、かなり減少していましたが、完全にいじめが無くなったとは言い難く、これまでのいじめに関しても反省の色がないので、加害児童A弟だけはマークを継続していただくことをお願いしました。
中学校への進学へ向けて、越えなければいけない4つのハードル

息子も小学校6年生に進級し、そろそろ中学校への進学も視野に入れて進学先の検討が必要になっていました。
小学校の高学年になってから、息子の就労の実現を意識していましたので、進学先の選択はとても重要な課題でした。
将来の就労を考えたとき、中学校より先の進学先も含めての検討が必要となります。
幸いにも、近隣に高等特別支援学校というわかりやすい目標がありましたので、そこを目指すために息子にとって最適な中学校の選択が必要となりました。
中学校については、できれば近隣の公立中学校(普通学級)に行ければいいなと考えていました。
ただし、そのためには、検討すべき4つのハードルを越える必要がありました。
1つ目は学習面での問題です。

これについては、6年生までは何とか授業にもついていけていたこと、中学校での学習内容はさらにむずかしくなりますが、これも家庭学習の補強により、何とかなりそうでした。
2つ目はクラスメートとの人間関係です。

息子とクラスメートとの人間関係は、これまでずっと良好と考えていましたが、念の為、担任の先生に現況を確認することにしました。
3つ目は、基本的な学校生活を問題なくこなせる能力があるかどうかです。

普通学級での学校生活は、さまざまな能力が求められます。
体育では休み時間のうちに体操着を着替えて、校庭や体育館に速やかに移動することが求められます。
音楽や家庭科の授業も然りです。

その他にも、日直当番、給食当番、掃除当番などをそつなくこなす必要があります。
その他にも委員会活動など、さまざまな役割を果たす能力が求められます。
これらについても、これまで問題ないと思っていましたが、念の為、担任の先生に現況を確認することにしました。
F主任(6年生でも息子の担任の先生)に、上記の1~3について相談したところ、「今のところ学校生活で問題点は特になく、中学校(普通学級)でもおそらく問題ないでしょう」と、あっさり言われてちょっと力が抜けてしまいました。
ですが、まだもう1つ越えなければならない大きな課題がありました。それは、A兄弟も同じ中学校に進学するということです。

実は、加害児童Aが中学校に進学と同時に、A母親が中学校でもPTA幹部になったという情報を既に得ていましたので、また、小学校時代と同じ争い事を繰り返す必要があるのかと考えると、めまいがしてきました。
中学校への事前の根回しを決行(息子、中学校への入学直前)

進学先の中学校については、息子とも時間をかけて相談した結果、リスクはあるものの、近隣の公立中学校への進学に決定しました。
その理由は、兄貴が既に進学していること、息子を理解してくれているクラスメートの大半が、その中学校に進学する予定だったので、息子自身がそれを希望したからです。
中学校への事前の根回しは、息子の中学校入学直前に、校長、教頭とアポを取って決行しました。
事前の根回しの感触では、教頭のようすからA母親の方が先に根回しを行っていた形跡を何となく感じていましたので、なおさら、ここで決着をつけておかなければならないと考えました。
中学校側との面談
参加者(4名)
- 中学校側(2名)
- 校長
- 教頭
- 保護者側(2名)
- 私
- 妻
中学校側との話し合いは、校長室に通されました。
中学校側は校長、教頭、こちら側は私と妻でした。
話し合いの前に、本日の学校訪問の目的、これまでのA兄弟による息子へのいじめとA母親、小学校側、教育委員会とのやり取りの経緯をできる限り詳細に説明しました。
説明の際には、いじめの再発防止の観点から、A兄弟の実名を挙げています。
以下、中学校側との主なやり取り

いじめがあったと言いますが、明確な証拠などがあったのですか

明確な証拠があったケースもありましたが、ほとんどは証拠がないケースでした

それでは、ほとんどのケースでは、あなたの息子さんの記憶違いの可能性もあったということですね


教頭先生、あなたは文部科学省が定義する『いじめの定義』をご存知ないのですか。
それに、あなたは中学校の教頭先生ですよね。小学校とは事情が全然違いますよ。
あなたが、そのようなレベルの低い認識でいらっしゃるならば、今後、いじめの明確な証拠がそろった場合には、すべて警察対応とさせていただきます。
ご存知かと思いますが、14歳になると刑事罰の対象となるのですよ

いきなり警察とは、穏やかではないですね

それは、あなた方次第です。
小学校時代は、A兄弟、A母親への対応で、相当な時間とエネルギーを無駄に費やしてしまいました。
私がどれだけ苦労したかについては、小学校や教育委員会にご照会していただければ、十分ご理解いただけると思います。
中学校でも同じような状況が継続するのでしたら、もう、そういった対応は面倒なので、ストレートな対応を取りたいのですが、いかがでしょうか

事情を理解しました。いじめが再発しないように全力で対処します

中学校への事前根回しは、うまくいきました。
おそらく、私の中学校への根回しの内容がA母親にも伝わったようです。
A母親は、中学校でもPTA幹部でしたが、それ以降は辞退していました。
中学校時代では、A兄弟を加害者とするいじめは発生しませんでした。
さすがに、警察対応の言葉に怖気づいたようです。
A兄弟以外を加害者とする息子へのいじめが1度だけ発生しましたが、中学校側の対応はとても迅速でした。

被害者は息子以外にもいたようですが、学校側はアンケート調査まで実施して早急に解決させました。
これでやっと、息子のいじめは完全に解決しました。

本当に長い道のりでした。
息子自身も怖い思いをしながらよく耐えたと思います。
この壮絶ないじめ体験を通じて、妻との夫婦の絆、息子との親子の絆、いじめ解決に協力してくれた兄貴も含めた家族の絆は、これまで以上に深まったと思います。
この頃には、妻の鬱状態もかなり改善していて、投薬は必要なくなっていました。
息子へのいじめ解決の道のりでは、得られたものも大きかったのですが、妻と息子には、大きな負担をかけてしまったと大変反省しています。
今、思い返して見ると、結果的に家族に大きな負担をかけてしまっていますから、私のしたことは、私自身の単なる自己満足に過ぎなかったのかもしれません。
ですが、当時は大事な息子が酷いいじめをうけ、さらに開き直った加害者側の態度が、どうしても許せなかったのです。
しかし、みなさんには、深刻ないじめですぐに解決できないようないじめの場合には、私のような対応をおすすめしたくはありません。
もしも、今、あなたが当時の私のような状況にあるとしたら、まずは、お子さんの心のケアを最優先に考えてあげてください。

そして、現実的ないじめへの対策として既にいじめ対策完全マニュアルを作成していますので、こちらをぜひ、参考にしてください。
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ですが、どうしてもいじめを許せずに、加害者側と闘うことを選択された場合には、時間も費用もそれなりにかかりますが、興信所や弁護士そして警察を利用することをおすすめします。
いじめには、決して負けないでください。でも、それは無理に加害者側と闘えという意味ではありません。あなたにとってもお子さんにとっても、最適ないじめ対策を選択することで、いじめを克服してほしいという意味です。
私のいじめ体験記が、みなさんの参考になれば幸いです。
今は苦しくつらくとも、きっと明るい未来が待っています。
