発達障害 時間の概念はむずかしい?(高等特別支援学校の入試の過去問題から)

発達障害のお子さんは、学習面でも苦手な分野がいろいろと多いので、ご苦労されているかと思います。
国語では、漢字などの機械的に憶えていくものはわりとできても、文章の内容理解など筆者の伝えたいことや、登場人物の気持ちや感情を問うような問題は苦手です。
算数では、機械的な計算だけならわりとすぐにできたりしますが、計算と日常生活と関連のある文章問題は苦手です。
日常生活は複雑な要素が絡みっている

日常生活は、複雑な計算や概念または人の気持ちや感情などが、複雑に絡み合いながら成り立っています。
ですが、発達障害児は、こういった日常生活で必要なことがわりと苦手だったりします。
学習面で重要というだけではなく、将来の生活でも求められることなので、親御さんとしてはお子さんにしっかりマスターさせたいところです。
高等特別支援学校の入試で問われること

また、日常生活で求められるようなことは、みなさんが関心を寄せている高等特別支援学校の過去問題にも、多く反映されています。
過去問題を公開している自治体は少ないですが、その問題を分析してみると、国語でも算数でもいえることですが、日常生活で必要な知識や応用を問うような問題が多いように思います。
その理由は、就労を実現するにも最低限求められる知識だからだと思います。
発達障害児にとっては、その他にも、苦手なものはいろいろあると思いますが、今回は、日常生活でも深い関係のある時間の概念や、時間の計算などについてスポットをあてていきたいと思います。
時間の概念や、時間の計算をマスターしよう

あなたのお子さんは、アナログ時計を見て今の時刻をいえますか。
また、時間の概念を理解できているでしょうか。
時間の概念については、日常生活のなかの会話として親子のコミュニケーションが取れていると、理解しやすいのではないかと思います。
時間の概念といえば、過去、現在、未来です。
こういうとすごくむずかしいように思いますが、日常生活の会話に置き換えると実はとても簡単です。
例えば、私は息子と毎日5分のコミュニケーションを欠かさずに続けています。
息子の小学校時代では「今日の給食の献立は何だった?」「今日は何を勉強した?」と聞く内容は他愛のないものです。

お子さんとのコミュニケーションを深めるには、地道な努力が必要です。
ですが、「継続は力なり」の言葉どおり、息子のコミュニケーション能力のアップにはとても有効でした。お子さんのコミュニケーション能力アップには、こちらをご参照ください。
日常生活の会話で理解を深めよう

毎日5分のコミュニケーションタイムで、息子に聞いていた内容は、「過去の出来事」です。
今日の給食の献立がカレーライスならば、これをその日の夜に聞いていますので、カレーライスを食べたのは過去の出来事です。
例えば、息子に「明日の給食の献立は何?」と聞いたとします。
それで、息子は給食の献立予定表を見て「明日の献立は、ハンバーグだから楽しみだよ」と答えてくれば、息子と未来の話をしたことになります。
休日に「今日は外食に行くけど、何が食べたい?」と聞けば、現在の話をしたことになります。
こうした日常会話のなかで、
「昨日行ったラーメン屋さんのラーメンは、おいしかったね」とか、
「明日は、牛丼を食べにいこう」など、
何気なく「昨日」「今日」「明日」などの時間の概念を教えていきましょう。

時間に関連するワードを意識しながら会話をしていると、自然に時間の概念がお子さんに身についていくと思います。
息子は食べることが大好きなので、食べ物の話をすると食いついてくるので、息子にはこんな感じで時間の概念を教えていました。
みなさんもお子さんの好きな話題で、やってみると意外にうまくいくような気がします。
こちらも有効です しつけと時間の概念をセットで…

また、しつけの一環として、同時に時間の概念も教えていくのもいいかもしれません。
お子さんが小学生であれば、今日の学校での出来事を確認します。
「何を勉強した?」などと同時に、宿題や先生からのお便りの有無の確認をします。
確認する内容は、今日の学校であった過去の出来事です。
宿題やお便りがあれば、今確認します。
宿題をさせるのも今です。「宿題を今すぐ一緒にやろう」と提案すれば、それは現在の出来事です。
明日の学校の授業の時間割表を見ながら、明日学校に持っていく持ち物の準備をすれば、それは未来の出来事に対する準備になります。
時間の概念を意識しながらお子さんと会話することで、少しずつですがお子さんのなかに時間の概念が培われていきます。
あまり焦らずにゆっくりとすすめて行くことが大事だと思います。

なお、しつけの一環として持ち物チェック、宿題チェック、お便りチェック、時間割表のチェックなど、お子さんにとって必要な日常生活のチェック作業の習慣化については、こちらでご紹介しています。
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- 放課後もチェック表で、よい習慣化を目指しましょう好循環で学習効果も。放課後もチェック表で、よい生活習慣を!最初は手間がかかって大変ですが、続けていくうちに子どもも成長して親の負担も軽くなっていきます。就労への第一歩。
日常生活は、複雑な計算や概念または人の気持ちや感情などが、複雑に絡み合いながら成り立っている
- 学習面で重要というだけではなく、将来の生活でも求められることなので、しっかりマスターさせておきたい
高等特別支援学校の入試では、日常生活で必要な知識や応用を問うような問題が多い。
時間の概念といえば、過去、現在、未来
- 日常会話のなかに何気なく「昨日」「明日」「今日」などの時間に関連するワードを意識しながら入れていき、少しずつ焦らずお子さんに身につけさせる
今回はここまでです。
次回は、発達障害児にとっては苦手な子どもが多い、アナログ時計の時刻の見方についてお話しします。お楽しみに。