発達障害 時間の計算(入試模擬問題)にチャレンジ!①(高等特別支援学校の入試の過去問題から)

前回は、アナログ時計での時刻の見方について、発達障害児に学習させる方法について、お話しをしました。
今回は、いよいよ時間の計算の学習方法について、お話しします。
追記:模擬問題(PDF)ご用意しました。お役立てくださいませ。
「時刻」「時間」の概念を確認しよう

ここで、時間の計算をする前に、「時刻」「時間」の概念について、確認しておきたいと思います。
日常生活において、「時刻」といえば、ある時点の「○時○分」を指します。
「時間」といえば、「ある時刻」から「ある時刻」までの期間を指します。
これではちょっとわかりにくいですから、もっと簡単にいうと「今、何時?」の今の「○時○分」が「時刻」です。
「カップ麺は、作るのに熱湯を注いでから3分間かかります」の「3分間」が「時間」です。
イメージ的には、「時刻」は点で、「時間」は線です。これを踏まえて次にすすみましょう。
時間の計算はなぜむずかしい?

時間の計算は、普通の計算と比較すると発達障害児にはとてもむずかしいと思います。
なぜ、時間の計算がむずかしいかといえば、通常の計算が10進法であるのに対して、時間は60進法だからです。
計算方法が基本的に違うからです。
単位を変えて換算する計算だけでも、全然違います。
例えば、長さで1mはcmに単位を変えて換算すると、100㎝です。
式で表すと、「1m=100㎝」となります。mは㎝の100倍です。
1m = 100cm
1cm × 100 = 1m
ですが、計算自体は10進法の範疇なので、理解はそれほどむずかしくはありません。
長さ以外でも、物の重さ、面積、体積などほとんどが10進法なのに、なぜか時間だけは60進法なので、時間の計算は面倒でさらにわかりにくいのです。
1時間は分に単位を変えて換算すると、100分ではなく60分です。1分は60秒です。
1時間 = 60分
1分 = 60秒
時間の計算も通常の四則計算ができますが、単位を合わせたり、繰り上げ、繰り下げの計算をするときに、10進法と同じ計算をすると正しい答えをだすことができません。
入試模擬問題にチャレンジ!

ここで例題(当ブログのオリジナル問題)です。
高等特別支援学校の入試問題に、出題されそうな模擬問題です。
高等特別支援学校への入学を目指すなら、ぜひ、おさえておくことをおすすめします。
なお、実際の出題では、ここでの例題と違い10分単位ではなく、分単位まで求める問題となると思いますので、ご注意ください。
時間の計算の問題①【当ブログオリジナル模擬問題:問題編】
Aさんが10時50分に自宅を出て、11時30分に駅に着きました。Aさんは、自宅から駅まで着くのに何分かかりましたか。

時間の計算の問題①【当ブログオリジナル模擬問題:解答・解説編】
Aさんが10時50分に自宅を出て、11時30分に駅に着きました。Aさんは、自宅から駅まで着くのに何分かかりましたか。

(1)アナログ時計を使って解く方法

自宅から駅に着くまでにかかった時間は、長針が動いた時間。
長針は⑩から⑥まで40目盛り進んだから、答えは40分
(2)計算で解く方法
(自宅から駅に着くのにかかった時間)は、(駅に着いた時刻)から(自宅を出た時刻)を引き算することで求められる。

※引き算をする際、30分から50分は引けないので、時間(の位)から1時間を繰り下げる。
時間(の位)は、1時間繰り下がったので、11時から1時間を引いて10時となる。さらに、時間(の位)は10時を引くので、最終的に時間(の位)は0時間。
1時間=60分なので、分(の位)に繰り下がった時間は60分。
元の30分と繰り下がった60分を足すと90分になる。
この90分から50分を引くと、分(の位)は40分となる。
したがって、答えは40分
まとめ
「時刻」「時間」の概念について
- 「時刻」の概念(点のイメージ)
- 「今、何時?」の今の「○時○分」が「時刻」
- 「時間」の概念(線のイメージ)
- 「時間が3分間かかる」の「3分間」が「時間」
時間の計算問題の解き方
- 計算で解くときは、繰り上げ、繰り下げの計算に注意
- ※ 1時間=60分なので、繰り上げ、繰り下げも60分となる
今回はここまでです。
次回は、時間の計算の例題演習の続きです。お楽しみに。
なお、高等特別支援学校の受験対策については、こちらでもご紹介しております。
模擬問題ダウンロード
時間の計算の問題①(問題用紙)

全1枚(PDF文書)
基本的な時間の計算の問題ですが、時間の繰り下がりがあります。確実にマスターしましょう。
時間の計算の問題①(解答・解説)

全3枚(PDF文書)
市販の学習ドリルにはないわかりやすい解説を心がけました。
学生時代から多少ブランクのある親御さんでも、簡単にお子さんからの質問に答えられるように工夫しています。