息子の高等特別支援学校への挑戦 合格への道(進学先を考える前にしておきたいこと・事前準備編①)

前回は、就労の近道である高等特別支援学校について、どのような就労スキルなどを学ぶことができるかなど、その活動内容についてお話ししました。
今後は、息子の高等特別支援学校への合格までの具体的な道のりについて、順次詳細にご紹介していきます。
今回は、具体的な息子の進路先候補とそのメリット、デメリットなどについて考察していきます。
息子の障害が重すぎて、就労なんてとても考えられなかったあの頃…

息子の将来の就労について、明確に意識するようになったのは、息子が小学校高学年になった頃でした。
息子の場合、スタート地点がとても厳しい状況(療育手帳:判定B・中度)で、3歳になるまでほとんど言葉が出ていませんでした。
さらに、いつもパニックを起こして泣いて暴れる子どもだったので、最終的に就労が可能になるまでに成長できるとは、とても想像ができなかったのです。
当時、こんな状態の息子でも愛情を感じていましたし、とても不憫にも思っていました。
その頃の息子の将来の目標は、「今後の成長に伴い、何とか落ち着いて生活できるようになってほしい」「せめて、一生涯、穏やかに一緒に暮らせるだけでいい」と考えていたというより、願っていました。
それが、当時、私が親として息子に対して考えていた精一杯の願いでした。

その後、子育てがうまくいったことから3歳以降はさまざまな点において、大幅な成長を促すことができました。
息子の大幅な成長に関しては、こちらをご参照ください。
幼稚園時代は、息子を原因とするトラブルが発生することもなく、うまくいっていたので、小学校は普通学級に在籍させることにしました。
息子は3歳以降、性格的にはとても穏やかになり、パニックを起こさなくなりました。
普通学級での学校生活では、最初からうまくこなせるようになっていましたが、私の意識のなかでは、まだまだ、息子の乳幼児期の酷い状態の印象が強く残っていたのです。

ですから、息子が小学校に入学後もしばらくの間は、将来的に就労が実現したり、友だちと余暇を楽しんだりする未来を、なかなか想像することができなかったのです。
息子が小学校の高学年になって、やっと将来の展望を考え始めるも…

それでも、小学校も高学年になる頃には、普通に学校生活に馴染めている息子を見たとき、息子の将来の可能性について、少しずつですが考える心の余裕ができてきました。
それで、そろそろ息子の将来について少しずつ考え始めていた頃、とんでも無いことが起きてしまったのです。
息子に対する酷いいじめがわかったのでした。
息子へのいじめはその内容も酷かったのですが、いじめ加害児童がいじめを認めない。
いじめ加害児童の親はPTA幹部だったのですが、これまた酷い態度をとってきました。
まったく、親子ともども反省の色がありませんでした。
さらに、学校側はこのPTA幹部を庇い、いじめを隠蔽しようとしてきました。

この時期、息子の将来の進路先や就労の実現に向けてじっくり考えたかったのですが、出鼻をくじかれた感じでした。
このいじめに対しての私の行動は、徹底抗戦でした。

私自身、筋の通らないことが大嫌いでしたので、状況は最悪でしたがこのいじめは絶対に解決すると決めました。
最終的にこのいじめに関しては、数年かかりましたが無事に解決することができました。
このいじめに関して、私がどのように考えどのように行動し、最終的にどのように解決に導いたかについては、こちらをご参照ください。
いじめ対応と同時進行、息子の進学先は?

息子が小学校高学年になった頃、これまでの息子の成長を踏まえ、うまくしたら、就労の実現が可能になるかもしれないと、これまでの息子に対する能力評価を見直しました。
それと同時に、息子の将来の目標を「できれば一般就労し、経済的な自立を果たしてほしい」に修正しました。
その後、息子は地元の公立中学(普通学級)に入学しました。
いじめの加害者も同じ中学へ進学していましたが、学校への根回しの結果、息子へのいじめは、完全に解決することができました。

いじめが解決して、中学では息子の成長を阻害する要因がなくなり、さらなる成長がうかがえました。
そこで、息子の将来への目標も、就労の実現だけではなく「せっかく生まれたのだから、幸せになってもらいたい。人生を楽しんでもらいたい」と修正しました。
最終的な目標は、より健常者に近い将来設計への変更です。
息子の将来の幸せな生活の実現に向けてのスタートです。
その実現のためには、就労の実現が大前提となります。
まず、息子の就労の実現に最も近いであろう進学先の高校は、どこなのかの検討を始めました。

なお、息子が中学に入学する頃、近隣に高等特別支援学校が新設されたことを知りました。
これにより、息子の高校進学への進路先の選択肢がさらに広がったことは、とても幸運な出来事でした。
息子の進路先候補の分析 それぞれのメリット・デメリットは?

息子の高校進学の進路先の選択の過程のなかで、就労の実現という目標達成のための1つの選択肢として、高等特別支援学校への入学も検討しました。
息子が中学生となり、中学校卒業以降の進学先候補についても、それぞれのメリット・デメリットも考えてみました。
息子の高校進学 進学先の候補
- 普通高校(工業高校、商業高校などを含む)
- 夜間高校(定時制高校)
- 特別支援学校(高等特別支援学校を含む)
進学先それぞれのメリット・デメリット

特別支援学校(高等特別支援学校を含む)では、専門的な就労スキルを学ぶことができます。
また、職場実習(インターンシップ)を通じて、時間をかけて就職活動を行います。
したがって、採用試験、採用面接のみでの自己アピール勝負ではないため、時間をかけて採用可否を判断してもらえるメリットがあります。
さらに、障害者枠での採用となりますので、雇用先に障害者としてある程度の配慮が期待できます。
普通高校(工業高校、商業高校などを含む)の場合、発達障害児である息子の就職活動に学校側がどれだけ協力してくれるのか、わかりませんでした。
場合によっては私自身が息子と一緒に、就職活動に奔走する可能性も視野に入れる必要がありました。
また、普通高校では、専門的な就労スキルを学ぶことができないこと、障害者枠での就職活動も困難かもしれないことも、考慮する必要がありました。

さらに、それに加えて息子自身の能力の再評価も必要でした。
息子の場合、学力面だけを評価したならば、他の健常児と比較して大きな後れをとっていませんでしたので、偏差値の低い普通高校、大学ならば進学は可能と判断していました。
ですが、ネックとなったのは、息子の仕事をする能力でした。
発達障害児としての息子の能力の限界を実感

息子は、学力面だけならば、健常児ともある程度は競い合っていく実力があると判断していました。
しかし、その後の就職先で健常者と互角に戦うほどの能力はないだろうと判断していました。
なぜなら、悲しい現実ですが、学習面である程度の成績をとる能力と、仕事で成果を出していく能力は、まったく別ものだと理解していたからです。
例えば、息子のコミュニケーション能力は、それほど低いとは思っていませんでしたが、一般の健常児と比較すればその差は歴然としていました。
営業職はどう考えても無理です。
大学進学して総合職になったとすると、どんな職種でも交渉力、折衝する能力、問題解決能力などが求められます。
企画する能力もありません。
研究職にもそう簡単にはなれないでしょうし、その適性があるとは思えません。
結論はもう出ていました。

やはり、就労については、単純作業での就労が息子には無理がなく、合っていると最終的に判断しました。
また、息子自身もそれを希望していました。
まとめ
発達障害児の進学先の選択(ケーススタディ:息子の場合)
- 高校以降の進学先候補
-
- 普通高校(工業高校、商業高校などを含む)
- 夜間高校(定時制高校)
- 特別支援学校(高等特別支援学校を含む)
- 就労スキルの習得、就職活動
- (1)(2)の場合
- 進学先で専門的な就労スキルを学ぶことができない<就労への近道>
- 健常児との同様の就職活動なので、ある程度の総合的な能力が必要
- (3)の場合
- 進学先で専門的な就労スキルを学ぶことが可能
- 職場実習(インターンシップ)での就職活動。時間をかけて採用可否の判断をしてもらえる。障害者枠での入社なので、障害者としての配慮が期待できる
息子の能力の再評価
- 学習面だけではなく、仕事で成果を出せる能力があるかなど、総合的な能力評価が必要
今回はここまでです。
次回は息子の進学先候補の具体的な絞り込み作業について、お話しします。お楽しみに。
なお、高等特別支援学校の受験対策については、こちらでご紹介しております。