わが子を可愛がられる発達障害児に育てたい 親御さんの願いをかなえる子育て

発達障害児が愛される子どもに育つためには?

私は、息子を無条件で愛しています。
わが子ですから当然のことです。
ですが、私の息子は、万人の方に無条件で愛してもらえるかと言えば、「否」です。
息子は発達障害児ですし、幼児の頃は酷いパニックを起こして一日中ストライキを起こすような子どもでした。
世間の方々からみれば、愛されるどころか、そばに寄るのも嫌がられるような子どもだったと思います。
しかし、今後成長に伴って、息子は家庭から巣立ちしていくことになります。
人は独りでいきていくことができませんから、否応なく社会とかかわりあいながら生きていかなければなりません。

他者とかかわりあいながら生きていくということは、他者と折り合いながら生きていくということです。
他者と折り合うことができないと、必然的にトラブルが生じることになります。
ですから、トラブルを回避できるように、事前に対処していくことが重要となります。
最初の社会とのかかわりは、多くの場合、保育園や幼稚園です。
初めて、家族以外との集団生活が開始されることになります。
集団生活では、人間関係の確立がとても重要になります。
その後は小学校、中学校、高校(大学、専門学校など)での学校生活を通じて、就労が実現すれば、会社の方々とのかかわりが始まることとなります。

親の希望としては、世間の方々に愛される子どもであってほしいと思うのは、自然の感情ですが、現実はそう甘くはありません。
ですから、「愛される子どもは無理でも、せめてうけ入れてもらえるようにならないだろうか」と私は考えたのです。
では、世間の方々にうけ入れてもらうにはどうしたらいいのでしょうか。
コミュニケーション能力の基本は「協調性」

人間関係の基本は、コミュニケーションです。
コミュニケーションの基本は、一般的には会話による意思の疎通です。
一般的に、発達障害児は、コミュニケーションが苦手といわれます。
発達障害児がコミュニケーションを苦手とする理由は、その場の雰囲気や相手の気持ちを察することができずに、無意識のうちに相手を傷つけたり、相手を怒らせるような不用意な発言をしたりするからです。

また、相手の言葉を十分に理解することも苦手ですから、言葉のキャッチボールで会話することも、苦手だったりします。
コミュニケーションの基本は会話ですが、コミュニケーション能力の基本は、「協調性」だと考えています。
人間関係の基本は会話ですが、会話は言語だけで成り立っているわけではないからです。
人間同士が膝を交えて会話するとき、相手の感情を推し量れる要素としては、会話の言葉だけではありません。
それは、相手の表情であったり言葉の端々だったり、強い口調、優しい話しかけなど、さまざまな要素から、相手の気持ちが何となく伝わってくるものです。

それは、相手側だけではなく、自分自身も相手に対する感情を言葉だけではなく、顔の表情を含めて態度で相手に示しています。
相手に好感の感情があれば、優しい言葉遣いでおそらく、顔の表情も穏やかだと思います。
それは、逆の場合も然りです。
そして不思議なことに、こちらが相手に対して好感をもって接していると、多くの場合、相手もこちらに対して友好的な態度で接してもらえます。

逆にこちらが相手に敵対の態度を見せると、相手もそれに呼応するように、こちらに対して厳しい態度で接してくるようになるのです。
コミュニケーション能力のアップについては、こちらもご参照ください。
ですから、世間の方々にうけ入れてもらいたいと思ったら、相手と仲良くしたいという意思を言葉だけではなく、態度でも示す必要があります。
これが、「協調性」です。
私は「協調性」とは「他者との適切な関係を築きたいという謙虚な心」だと考えています。
「協調性」が育っていると、相手に配慮する気持ち、相手に対する優しい気持ちが育っていることになります。
気持ちの根底にそのような気持ちが育っていると、相手に対して、自然に優しく接することができます。

そうすると不思議なことに、相手側からも、こちらに対して優しく接してもらえる可能性が高くなるのです。
相手側も、こちら側の配慮する気持ちに良い形で反応を示してくれるようになるからです。
人間関係とは、そういったものです。
息子が世間の方々にうけ入れてもらうためには、息子にこの「協調性」を育てていくことが不可欠であると考えたのです。
通常、人が人と仲良くなるためには、相手に対する気遣いが必要です。
それは、相手に対する思いやりだったり優しさだったりします。
それが「協調性」です。

コミュニケーションの基本は会話ですが、ただの会話だけでは、人間関係は進展しないと考えています。
その根底に、「協調性」(相手を気づかう気持ち)があって初めて、より良好な人間関係が成立するのだと思います。
ですから、コミュニケーション能力の基本は、「協調性」なのです。
「愛される子ども」を意識した子育てとは?

「愛される子ども」を意識した子育てとは、「協調性」を育てる子育てです。
初期の子育てにおいて、これが特に重要だと考えています。
前述で、最初の社会とのかかわりは幼稚園・保育園から始まることをお話ししました。
ここで、初めて家庭以外の人々との人間関係の構築がスタートします。

これまで家庭内では、わが子の言動や行動に多少の問題があったとしても許される環境でしたが、ここからはそうはいきません。
保育士さんなどの大人にはある程度許容してもらえるかもしれませんが、他の園児との関係性においてはそうはいかないからです。
園内でのトラブルはできる限り避けたいものです。
そのためには、ある程度の「協調性」を育てていく必要があります。

「協調性」とは、「他者との適切な関係を築きたいという謙虚な心」だと申しあげました。
他者との適切な関係を築くためには、相手に配慮する心を育てる必要があります。
相手に配慮するということは、相手を優先する気持ちが必要です。

相手を優先するためには、ときには自分の気持ちを抑える能力が求められます。
自分の気持ちを抑えることは、我慢するという気持ちです。
ですから、我慢することを学習させることが必要となってくるのです。
例えば、園内にあるすべり台は人気の遊具です。
園児たちは我先に、お気に入りの遊具で遊びたいと考えています。
ですから、入園後の最初のうちは混とんとした状況のなかで、園児同士の争いがあるかもしれませんが、徐々に秩序が生まれてきますので、争いは収束していきます。

なぜかといえば、他の園児たちに「協調性」が芽生えてくるからです。
通常、園児同士は争いをするなかで、順番を守って仲良く遊ぶ方が合理的だということを、経験的に学んでいくからです。
健常児の園児たちは、こういったことを理屈ではなく、経験的に学んでいきます。
これについては、こちらでも詳しく解説していますので、ご参照ください。
園内に秩序ができる頃には、園児たちは仲良く遊ぶための暗黙のルールを守るようになります。
このルールは例えば、「遊具は順番を守って遊ぶ」などです。
このルールは、園児同士が無用な争いを避けるために経験的に学んでいくものです。
このルールを守るためには、順番を守る必要があります。
遊具ですぐに遊びたい気持ちを抑えて、順番を待つという我慢の気持ちと忍耐が必要です。
他の園児とトラブルになるよりは、多少我慢してもルールを守る方が良いという結論に至ったということになります。

しかし、発達障害児の場合、健常児のように経験的に「協調性」を学ぶことはむずかしいと考えています。
ですから、まずは、家庭内で親御さんが「協調性」を習得させる必要があると考えています。
家庭内で「協調性」を身につけさせるヒントは、「しつけ」だと考えています。
「しつけ」は、親がわが子に良かれと思ってする行為です。
日常の生活、集団生活などでわが子が困ることが無いように行うものです。

「しつけ」をしていくなかで、わが子に我慢を教えなければならない局面もあります。
その局面では、わが子から強い抵抗をうける可能性があります。
それは、親としてはとてもつらい作業でもあるのですが、それも親のわが子への強い愛情だと考えています。

「しつけ」に関しては、こちらでも詳しく解説していますので、ご参照ください。
「愛される子ども」を意識した子育て、「協調性」を育てる子育てが、重要である理由
- 世間の方々に愛されるとまではいかなくとも、うけ入れてもらうため
- 学校生活、就労後の会社生活の人間関係を円滑にするため
人間関係の基本はコミュニケーション
- コミュニケーションの基本は会話による意思疎通。ただし、会話の言葉だけではなく、相手の表情、言葉の端々、口調、話し方など、さまざまな要素から、相手の気持ちが何となく伝わってくるもの
実際のコミュニケーションでは
- こちらが相手に対して好感をもって接していると、相手もこちらに対して友好的な態度で接してくれる。逆も然り
- 「協調性」(相手を気づかう気持ち)があれば、相手と仲良くなれる
コミュニケーション能力の基本は、「協調性」
- 「協調性」(相手を気づかう気持ち)があって初めて人間関係が成立する
「愛される子ども」を意識した子育てとは、「協調性」を育てる子育て
- 自然には育ちにくい。親御さんが「しつけ」で育むもの
今回はここまでです。
幼稚園・保育園に入園するときが、家族以外の他者との初めての交流が始まります。
同時に集団生活が開始されます。
その後の学校生活や就労後の会社生活も、集団生活です。

社会とかかわりながら生きていくということは、集団生活のなかで他者といかに折り合いをつけながら、生きていくかということです。
そのヒントが「協調性」となります。
次回は、この「協調性」をいかに習得していくかについて、お話ししていきます。お楽しみに。