高等特別支援学校 入学者選抜試験 模擬問題(打ち消しの意味を持つ漢字の問題)

学齢期で習う漢字の数は?

前回は、接続語の問題をご紹介しました。
今回は、漢字(熟語)の問題をご紹介します。
学齢期のお子さんは、毎年数多くの漢字を習います。
新学習指導要領の実施で、学習漢字の学年別配当表が変更されました。
小学校では20字が新たに追加され、学習漢字がこれまでの1,006字から1,026字となりました。ただし、これまでの学習漢字1,006字から習わなくなる漢字はありません。
中学3年間で学習する漢字の総数は1,110字で、2,136字の常用漢字のうち、小学校で習う1,026字以外の漢字です。
【みんなの知識 ちょっと便利帳】小学校・中学校・高等学校で学習する漢字の数など - 「2020年度,2021年度施行学習指導要領」対応版
漢字の読み書きは、国語の中でも基本の基であり、テストでは必須です。
加えて、二字熟語、三字熟語、四字熟語まであるのですから、漢字と一口に言っても、覚える量は膨大になります。
漢字の問題は多種多様

漢字の問題と一口に言っても、いろいろな問題がありますね。
例をあげてみましょう。
- 基本的な読み書き
- 同音異義語
- 反対語
- 二字熟語
- 三字熟語
- 四字熟語
- 漢字の成り立ち
- 漢字の部首
- 熟語の構成
まずは、基本的な読み書きから。
その後は実践的な問題へ。
けれど、どこから手をつけたらいいのか迷ってしまうかもしれません。
今回は、熟語の構成から「打ち消しの意味を持つ漢字を使う熟語」を取り上げていきます。
打ち消しの意味を持つ漢字を使う熟語とは

熟語には、前の漢字が後ろの漢字の意味を打ち消すものがあります。
二字熟語と三字熟語があり、これまでの高等特別支援学校の入試でもその両方の問題が出題されています。
打ち消しの意味を持つ漢字

打ち消しの意味を持つ代表的な漢字は、「不」「非」「未」「無」です。
それぞれについて見ていきましょう。
不(ふ・ぶ)

後ろにつく言葉を単純に打ち消す。
(例)
不安:安心できない
不運:運がない
不健康:健康でない
非(ひ)

本来あるべき正しいもの・正しいとされているものがあって、それに対して「そうではない」「よくない」状態。
(例)
非行:あるまじき行為
非常口:平常は閉じておき、突発的は事故が発生した際だけ開く出入り口
未(み)

「今はまだ~ない」という否定なので、「今後変わるかもしれない」という意味を含む。
(例)
未定:まだ決まっていない(この後決まるかも)
未解決:事件や問題などが片付いていない(この後片付くかも)
無(む・ぶ)

ここにない。今もないし、これからもない。
(例)
無比:他に比べるものがない(ここにない)
無風:風が吹かない状態(ここにない)
無気力:やる気のないこと(ここにない)
高等特別支援学校 入学者選抜試験 出題の傾向

二字熟語、もしくは三字熟語に打ち消しの意味を持つ漢字を補充させる問題が多いようです。
(例)
幸(不幸:ふこう)
作法(無作法:ぶさほう)
あとは、一般的な書き取りの問題になるかと思います。
それでは、早速チャレンジしてみましょう。
入試模擬問題を作成しましたので、どうぞお役立てくださいませ。
打ち消しの意味を持つ漢字の問題【当ブログオリジナル模擬問題:問題編】
次の に、「不・非・未・無」のどれか一字を入れて、熟語を作りなさい。
また、( )には読みがなを書きなさい。
① 視 ( )
② 足 ( )
③ 行 ( )
④ 読 ( )
⑤ 正 ( )
⑥ 熟 ( )
⑦ 番 ( )
⑧ 事 ( )
次の に、「不・非・未・無」のどれか一字を入れて、三字熟語を作りなさい。
① 思議
② 成年
③ 条件
④ 気味
⑤ 表情
⑥ 常識
接続語を使った問題【当ブログオリジナル模擬問題:解答・解説編】
次の に、「不・非・未・無」のどれか一字を入れて、熟語を作りなさい。
また、( )には読みがなを書きなさい。
① 無視 ( むし )
※現にあるものを、ないもののように扱うこと。
② 不足 ( ふそく )
※足りないこと。十分でないこと。
③ 非行 ( ひこう )
※あるまじき行為。
④ 未読 ( みどく )
※まだ読んでいないこと。
⑤ 不正 ( ふせい )
※正しくないこと。また、その行為や、そのさま。
⑥ 未熟 ( みじゅく )
※果物などが、まだ熟さないこと。一人前でないこと。
⑦ 非番 ( ひばん )
※当番でないこと。また、その人。
⑧ 無事 ( ぶじ )
※普段と変わりないこと。また、そのさま。
次の に、「不・非・未・無」のどれか一字を入れて、三字熟語を作りなさい。
① 不思議
※どうしてなのか、普通では考えも想像もできないこと。
→思議(しぎ):あれこれ考えをめぐらすこと。また、その考え。
(不思議は、「思議」を打ち消した熟語。)
② 未成年
※まだ成年に達しないこと。また、その人。
③ 無条件
※なんの条件もつけないこと。
④ 不気味
※気味が悪いこと。また、そのさま。
→気味(きみ):ある事態や物事から受ける感じ。また、その感じた気持ち。
(不気味は、「気味」を打ち消した熟語。)
⑤ 無表情
※表情のないこと。表情の変化にとぼしいこと。
⑥ 非常識
※当然知っていなければならないことを知らなかったり、当然従うべき社会規範に外れたりしていること。
受験対策について

高等特別支援学校の入試問題は、おおむね小学校卒業レベルの内容です。
しかし、今回の「打ち消しの意味を持つ漢字」が入った熟語は、小学校で習うだけでも100を優に超えます。
入試で出題されるのは、日常生活でよく目にするものが中心になっているようです。
中には、きちんと学習していなければ書けないものが出題されることもあります。
また、書き取りはもちろん、読みがなを答えさせる問題も見られます。
例えば、不明は「ふめい」、不様は「ぶざま」というように、同じ「不」でも読み方が違う熟語があるので、要注意です。
対策を万全にするためには、時間をかけてコツコツ学習していくのが一番だと思います。
焦って一気に攻略しようとすると、お子さんが混乱してしまうかもしれません。
丸暗記するにしても量が多いですし、「不・非・未・無」の使い分けを短時間で理解するのもハードルが高いです。
体に染み込むまで繰り返し学習していくのが、お子さんにとっても、親御さんにとっても負担がかからなくていいと思います。
ただ、漢字の問題は覚えることがメインにですので、読解などの問題と比べると、いくらか気楽に取り組めるかもしれません。
まずは、書けるようになる、読めるようになることを目指していきましょう。
熟語の意味については、「打ち消しの意味を持つ漢字の後ろにくる漢字の意味を否定する」ことになりますので、理解しやすいかと思います。
なお、お子さんの学習については、こちらでもご紹介しています。
なお、高等特別支援学校の受験対策については、こちらでご紹介しております。
まとめ
打ち消しの意味を持つ漢字
- 代表的な漢字は、「不」「非」「未」「無」
- 小学校で習う「打ち消しの意味を持つ漢字」の熟語はかなり多い
高等特別支援学校 入学者選抜試験 出題傾向
- 二字熟語、もしくは三字熟語に打ち消しの意味を持つ漢字を補充させる問題が多い
受験対策
- 同じ打ち消しの意味を持つ漢字でも読み方が違う熟語があるので、要注意
- 時間をかけて繰り返し学習するのが望ましい
模擬問題ダウンロード
打ち消しの意味を持つ漢字の問題(問題用紙)

全2枚(PDF文書)
- 二字熟語の空欄補充問題・読みがな記入問題
- 三字熟語の空欄補充問題
打ち消しの意味を持つ漢字の問題(解答・解説)

全2枚(PDF文書)
市販の学習ドリルにはないわかりやすい解説を心がけました。
学生時代から多少ブランクのある親御さんでも、簡単にお子さんからの質問に答えられるように工夫しています。