高等特別支援学校 入学者選抜試験 模擬問題(折れ線グラフの問題)

前回は、棒グラフの問題の問題をご紹介しました。

高等特別支援学校の入試問題の中でも、頻出度が高い「棒グラフ」の問題。グラフの読み取りや数値の比較など、ある程度練習が必要です。
今回は、折れ線グラフの問題をご紹介します。
折れ線グラフとは

折れ線グラフとは、時間の経過に伴って,数量がどのように変化するかを表したグラフです。
折れ線グラフでは,横軸に時間的経過を記入します。
縦軸には変化する数量を記入します。
各時間に相当する数量の大きさを点で表して,それを直線で結んで変化の様子を表します。
実際に見てみましょう。
例題

一日の地面の温度の変化を調べました。
表にまとめると、次のようになりました。
時刻 | 温度(度) |
---|---|
8時 | 21 |
9時 | 24 |
10時 | 27 |
11時 | 29 |
12時 | 31 |
13時 | 30 |
14時 | 29 |
15時 | 28 |
16時 | 22 |
17時 | 21 |
この表を折れ線グラフにしてみます。

折れ線グラフでは、直線の傾きが急なときは,変化の様子が大きくなります。
また、傾きが緩やかなときは,変化の様子が少ないことを示しています。
上のグラフでは、15時から16時にかけて、傾きが急になっています。
つまり、温度が急に下がったことがわかります。
傾きを理解しよう

折れ線グラフの問題でよくあるのが「変化が一番大きい」箇所の読み取りです。
そこで、グラフの「直線の傾き」が急になっているところを探すのですが、「傾きが急」という概念は少し難しいかもしれません。
折れ線グラフの「傾き」とは、横軸に対する角度です。

もう少し分かりやすく説明しましょう。
坂道の勾配を例に考えてみます。
図2のように、「急な坂道」は、水平面に対する角度が大きくなっています。
つまり傾きが大きくなっているということです。

また、図3のように「ゆるやかな坂道」は、水平面に対する角度が小さくなっています。
つまり傾きが小さくなっているということです。

このように、お子さんに「傾き」について説明するときは、坂道を例にするとわかりやすいと思います。
坂道で、「傾き」を理解できたら、つぎは折れ線グラフで見てみましょう。
図4のように、赤い直線と青い直線を比べると、赤い直線の「傾き」の方が急になっていることがわかります。

ここで先ほど「例題」で登場したグラフで、傾きが急になっているところを探してみましょう。

15時から16時の間の傾きが急になっています。
ここで、注意していただきたいのが、「直線が長いと変化の様子が大きい」と考えてしまうお子さんがいることです。
折れ線グラフは、直線の傾きで変化の様子がよみ取れるグラフだということを理解させましょう。
実際にグラフを書いて、練習問題を繰り返し解いて、理解を深めていきましょう。
入試の出題傾向

折れ線グラフの問題も、最近の高等特別支援学校の入試問題で、よく見かけるようになりました。
棒グラフの問題同様、問題のレベルは、それほど高くないものの、ある程度練習しておいた方が安心して本番に臨めると思います。
折れ線グラフの問題で問われる内容をあげてみます。
- グラフの基本的な知識
- グラフの読み取り
- 数値の比較
- 統計表の数値を元にグラフを書き込む
- グラフを元に統計表を完成させる
- 統計表を見てグラフの全体像をイメージできるか
折れ線グラフの問題では、傾きの急な(数値の変化が大きい)箇所について、問われることが多いので、「傾き」について、しっかり理解しておきましょう。
模擬問題を作成しましたので、どうぞお役立てくださいませ。
折れ線グラフの問題【当ブログオリジナル模擬問題:問題編】
下のグラフは、K市の1年間の気温の変化を表したグラフです。
次の問題に答えなさい。
graph.png)
(1)グラフの縦軸は、何を表していますか。
(2)4月の気温は何度ですか。
(3)気温が一番高かった月は、何月ですか。
(4)気温が9度だったのは、何月ですか。
(5)気温が25度より高かったのは、何月と何月ですか。
(6)気温の変化が一番大きいのは、何月と何月の間ですか。また、その差は何度ですか。
次のグラフは、Hさんの一週間の勉強時間を表しています。
グラフを見て、下の表を完成させなさい。
graph.png)
曜 日 | 時 間(分) |
---|---|
月 | 12 |
火 | (ア) |
水 | 18 |
木 | (イ) |
金 | (ウ) |
土 | 32 |
日 | (エ) |
折れ線グラフの問題【当ブログオリジナル模擬問題:解答・解説編】
下のグラフは、K市の1年間の気温の変化を表したグラフです。
次の問題に答えなさい。
graph.png)
(1)グラフの縦軸は、何を表していますか。
グラフの縦軸の単位は、「度」です。
問題文やグラフのタイトルから、縦軸が表しているのは、「気温」だとわかります。
(2)4月の気温は何度ですか。
グラフの縦軸の1目盛りは、「1度」を表しています。
4月の気温を表す点は、「0度から数えて14目盛り」の位置にあるので、答えは「14度」です。
または、「15度より1目盛り下」の位置にあるので、「14度」という見方もできます。
(3)気温が一番高かった月は、何月ですか。
棒グラフでは、「数値が一番高い=点の位置が一番高い」となります。
点の位置が一番高いのは、「8月」です。
(4)気温が9度だったのは、何月ですか。
グラフの縦軸の1目盛りは、「1度」を表しています。
「0度から数えて9目盛り」の点、
または、「10度より1目盛り下」の点を探し、当てはまる月を答えます。
(5)気温が25度より高かったのは、何月と何月ですか。
25度を表す線より上の点を探します。
当てはまる点は2つです。
それぞれの点に当てはまる月を答えます。
(6)気温の変化が一番大きいのは、何月と何月の間ですか。また、その差は何度ですか。
折れ線グラフでは、「変化が一番大きい=直線の傾きが急」となります。
よって、グラフの中で「直線の傾きが急」になっているところを探します。
「直線の傾きが急」になっているところは、10月と11月の間です。
10月の気温を表す点は、「0度から数えて18目盛り」の位置、または、「20度より2目盛り下」の位置にあるので、「18度」です。
11月の気温を表す点は、「0度から数えて10目盛り」の位置、または、「10度を表す線上」にあるので、「10度」です。
気温の差は、「10月の気温」から「11月の気温」を引き算することで求められます。
「10月の気温」-「11月の気温」
=18-10
=8
次のグラフは、Hさんの一週間の勉強時間を表しています。
グラフを見て、下の表を完成させなさい。
graph.png)
曜 日 | 時 間(分) |
---|---|
月 | 12 |
火 | (ア) |
水 | 18 |
木 | (イ) |
金 | (ウ) |
土 | 32 |
日 | (エ) |
グラフの縦軸の1目盛りは「1分」です。
(ア)は、「火曜日」の時間が入ります。
火曜日の時間を表す点は、「0度から数えて24目盛り」の位置にあるので、答えは「24分」です。
または、「25度より1目盛り下」の位置にあるので、「24分」という見方もできます。
(イ)は、「木曜日」の時間が入ります。
木曜日の時間を表す点は、「0度から数えて27目盛り」の位置にあるので、答えは「27分」です。
または、「25度より2目盛り上」の位置にあるので、「27分」という見方もできます。
(ウ)は、「金曜日」の時間が入ります。
金曜日の時間を表す点は、「0度から数えて20目盛り」の位置にあるので、答えは「20分」です。
または、「20度を表す線上」にあるので、「20分」という見方もできます。
(エ)は、「日曜日」の時間が入ります。
日曜日の時間を表す点は、「0度から数えて25目盛り」の位置にあるので、答えは「25分」です。
または、「25度を表す線上」にあるので、「25分」という見方もできます。
受験対策

グラフの問題は、ある程度パターンが決っています。
問題の数をこなすことで、そのパターンをつかむことができると思います。
折れ線グラフの場合は、「傾き」を読み取る力が求められるので、繰り返し練習して対策しましょう。
グラフの縦軸・横軸がそれぞれ何を表しているのか、グラフの一目盛りはいくつを表しているのか、数値の単位は何か、など基本的なことも問われます。

グラフの読み取りはもちろん、統計表からグラフを書く練習も大切です。
実際にグラフを書くことで、理解が深まっていくと思います。
過去の入試でも、グラフの一部分を記入させる問題が出題されています。
ですが、急にグラフを書いてみるといっても、何のグラフを書いたらいいか、困ってしまうかもしれません。
折れ線グラフのスタンダードといえば、気温の移り変わりです。
気象庁のホームページには、過去の気象データが掲載されていますので、そちらを利用するのも一つの手段 です。
もちろん、お子さんの身近なこともいいと思います。
身長や体重などの成長の記録や、一日の睡眠時間や学習時間などを表にまとめてグラフにするのもいいでしょう。
すぐに折れ線グラフを書く練習ができるよう、練習問題をご用意しました。
基本的な練習ができますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
コツコツ積み重ねていくのが、一番の近道です。
時間をかけて、気持ちに余裕を持って準備しましょう。
そして、お子さんのがんばりをほめてあげてください。
親御さんに褒められることこそが、お子さんのがんばる原動力になります。

お子さんのやる気を育てて、前向きに学習を進めていきましょう。
なお、高等特別支援学校の受験対策については、こちらでもご紹介しております。
まとめ
折れ線グラフとは
- 時間の経過に伴って,数量がどのように変化するかを表したグラフ
傾きを理解する
- 折れ線グラフは、直線の傾きで変化の様子がよみ取れるグラフだということを理解させる
- 折れ線グラフの問題では、傾きの急な(数値の変化が大きい)箇所について、問われることが多い
入試の出題傾向
- 問題のレベルはそれほど高くないが、ある程度練習が必要
- グラフの基本的な知識・ グラフの読み取り・数値の比較
- 統計表の数値を元にグラフを書き込む
- グラフを元に統計表を完成させる
- 統計表を見てグラフの全体像をイメージできるか
- 問題文を正しく理解して答える力や、基本的な計算力も問われる
受験対策
- グラフの問題は、ある程度パターンが決まっているので、問題の数をこなすのが一番の対策
- 実際にグラフを書いて、理解を深めるのも有効
模擬問題ダウンロード
折れ線グラフの問題(問題用紙)

全3枚(PDF文書)
- グラフの読み取り
- グラフの数値の比較
- グラフから統計表を完成させる
折れ線グラフの問題(解答・解説)

全5枚(PDF文書)
市販の学習ドリルにはないわかりやすい解説を心がけました。
学生時代から多少ブランクのある親御さんでも、簡単にお子さんからの質問に答えられるように工夫しています。
折れ線グラフを書いてみよう

全2枚(PDF文書)
統計表を折れ線グラフで表す練習ができます。練習問題と解答の2枚組です。