発達障害児の息子 かかりつけのお医者さん、歯医者さん

歯医者さんで診察を受ける子ども

発達障害児を抱えていると日常生活で、さまざまな制約をうけることがあります。なかでも、発達障害のお子さんの親御さんの大きな悩みの種の1つに、病院、歯科医院選びというのがあります。健常児にとって病院、歯科医院は怖い場所のひとつであり、それは発達障害児でも同じです。

私の息子も喘息の持病をもっていたため、病院への通院は大変でした。3歳以前のときは、喘息がひどくてときどき点滴をうけていましたが、泣いて暴れて点滴の針を勝手に抜いてしまうため、とても苦労した記憶があります。しかも、点滴は時間がかかるため、息子の気持ちを落ちつかせるのがとても大変だったのです。おそらく、みなさんも同じような経験をされているのではないでしょうか。

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お住まいの地元で発達障害に理解のある医師、または歯科医師がいる病院、歯科医院をさがすのは本当に大変な作業です。今も昔も基本的には、ママ友つながりの口コミで教えてもらうのが一般的だと思います。でも、ママ友つながりで発達障害児を抱える親御さんがいない場合、地元の特別支援教室や特別支援学校へ連絡を取り、在籍する児童の親御さんを紹介してもらう、地元の自閉症、発達障害の親の会から在籍する親御さんを紹介してもらうなどの方法があります。地元にいる発達障害を抱える親御さんは、障害者の親として良き先輩であり、病院情報だけでなくさまざまな情報の共有や子育てなどで悩んだ際のアドバイザーとして頼りになる存在です。

私もこのようにして、息子の病院、その他施設を紹介してもらっていたのですが、あるとき、私のなかで1つの大きな疑問が生じました。息子はこれから何十年も生きていくことになりますが、今後ずっと発達障害に理解のある病院等をさがなければならないのか、発達障害に理解のある場所でしか息子は生きられないのかという疑問でした。

当時、私は転勤族で数年に一度引越をしていました。その都度、新しい環境で息子に合った病院をさがす負担もありますが、それ以上に、息子は限られた場所でしか生きていくことができないのかという思いが強くなっていったのです。病院、歯科医院などの日常生活で必要な施設や店舗などについては、息子が幼いうちは、ある程度障害に理解のある場所でないとむずかしいと思っていましたが、息子が5歳のときの転勤時から普通の病院、普通のその他施設へいくことに決めました。この決断の後押しとなったのは、息子の障害に改善の兆しが見えてきたことが大きかったと思います。

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初めは、大丈夫かどうか不安が大きかったのですが、息子の情緒が以前より安定していたので、思ったよりうまくいったと思っています。診察室では、極度に緊張することはありましたが、暴れだすようなことはありませんでした。その前に、引越による転園などがありましたが、新しい幼稚園にもすぐに慣れることができたので、既にある程度新しい環境に慣れていたのかもしれません。

歯科医院は病院よりもハードルが高いと思います。歯科医院特有のあのキュイーンという音は、大人の私でもあまり慣れることができません。息子はこれまで虫歯になったことはありませんでしたが、虫歯予防のフッ素塗布目的で通院する必要がありました。療育センターに通院時はセンター内に歯科医院があり、ネットで動けなくしてから対応してもらっていました。その頃は、息子は歯科医院というだけでパニックを起こしていたので、やむを得ない措置だったと思っています。転勤後は息子の情緒も安定してきていたので、病院に続き、歯科医院でもネットなしで受診できるようにしたいと思い、チャレンジしました。

虫歯治療ではありませんが、歯を研磨する際にちょっと痛みを感じるかもしれないが、痛いのはちょっとだけだからと事前に何度も大丈夫であることを息子に伝え、安心させたうえで、私も治療室に同行し何とか無事に終わることができました。終わった後はよく頑張ったことを褒めてあげると息子は少し誇らしげに喜んでいました。

今回、発達障害児の環境変化への順応について、お話ししました。また、関連する事項として、発達障害児は、急な予定変更への順応がむずかしいこともよくいわれます。ぜひ、こちらも合わせてご参考にしてください。

今回はここまでです。次回は、通常の病院、歯科医院を克服した息子が、今度は、ひとりで診察室へ行くことへの挑戦です。病院では、自力で病状を医師へうまく伝える必要があります。また、歯科医院では、ひとりで診察台での恐怖に耐える必要があります。お楽しみに。

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