子育ての基本は、親が子どものお手本となること

子どもに勉強させたいとしたら、「勉強しろ」というだけでは子どもの気持ちは動かないものです。そこで、上杉鷹山の格言どおり、親が一緒になって勉強すると効果が高いことをお話ししました。ただ、親はいつまで子どもの勉強を付き合えばいいのでしょうか。前回の続きです。
世の中には、学習面で良い成績が取れる子どもとあまり成績の良くない子どもがいます。この違いは何でしょうか。能力の差もあるでしょう。勉強時間の長短の差もあるでしょう。でも、それだけでしょうか。
勉強ができる子どもは、学習内容を十分に理解しています。学習内容を十分に理解している子どもは、学習することの楽しさを知っています。1つ1つ理解できることが喜びになります。さらにテストでも良い点数が取れるので、その相乗効果でもっと勉強が好きになるのです。このレベルに達している子どもは、もう親がかりの学習は不要になります。
ただ、年々学習内容がむずかしくなっていきます。突然壁にぶつかる場合もありますので、注意が必要です。そのときには、もう一度親がかりでの学習を再開するか、塾や家庭教師に頼るかなどで解決を図ってあげましょう。
ここまでのお話は、健常児の場合です。発達障害児の場合は、知的な遅れを伴うことがありますので、おそらく学齢期はずっと親がかりの学習となると思います。ただし、あなたのお子さんが普通学級の在籍でなければ、それほど高度な知識は不要と思います。おそらく、将来の生活や就労でさえも、関数や方程式といった高度な知識は不要です。就労を目指しているとしたら、就労する時期までに、就労するのに最低限必要となる知識があれば十分です。
息子の場合は、小中学校は普通学級でしたので、この期間中はずっと親がかりでの学習でした。国語では、漢字は得意でしたが長文問題の読み取りは苦手でした。発達障害だけに人の気持ちを読み取るような問題が苦手でしたので、アニメーションを見ているときなどに、「この人は、どんな気持ちでこうしたのかな」と聞いたりして、少しずつ人の気持ちについて理解を深めていきました。算数では、計算は問題ありませんでしたが、文章問題で意味を理解するのが苦手でした。
高校は高等特別支援学校だったので、通常教科は小学校高学年レベルでしたので、親がかりの勉強はここで終わりました。ただし、定期試験のときだけは、試験勉強の内容確認だけはしていました。
なお、上杉鷹山の格言の素晴らしいところは、親(大人)が子どもにお手本を示すところにあります。これは勉強に限ったことではありません。身辺自立を含めて、日常生活のすべてにおいてです。
例えば、自立登校(親の付き添いなしにひとりで登校)を確立したい場合、いきなりでは、子どもは不安になります。ですから、親がお手本となって子どもが一人で登校できるよというまで、何度も何度も自宅から学校までを往復する練習をするのです。とても面倒な作業ですが、何度も繰り返し練習することによりできるようになります。というか、できるようになるまで、練習を継続しましょう。(車や自転車などの多い場所は注意を促しましょう。信号機などの交通ルールを徹底的に理解させましょう。道路の横断は必ず横断歩道を渡るようにし、渡るときは車が来ていないか必ず確認させるようにしましょう)
上杉鷹山が、江戸時代に既に子育てや部下の育成に影響を及ぼす思想をもっていたとは、本当に驚きです。