子育ての次のステージ 子どもの自立的な成長を見守ること

前回、上杉鷹山の格言「してみせて、言って聞かせて、させてみる」をご紹介しました。今回はこの続きです。
山本五十六(連合艦隊司令長官)は、これをさらに発展させた格言を残しています。彼曰く「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず」。これぞ、子育ての集大成というべき格言だと思います。(山本五十六自身は、人の育成のあるべき姿を格言に残したと思いますが、子育ての観点からも素晴らしい格言だと、私は考えています)
まず、親が手本を見せて、子どもにさせてみて、子どもにできたことを褒めてあげなければ効果は薄いと述べています。人は誰しも褒められてうれしいものです。さらに褒められることで、次も頑張ろうという動機にもつながります。子どもは褒められるともっと頑張るようになります。もっと努力を重ねた子どもはさらに褒められることになり、この好循環が子どものさらなる成長を促すことになります。
また、褒めるだけでもまだ足りず、子どもの行動や考え方も認めて任せてみることも大事であり、子どもを信頼し見守ってあげなければ人は成長しないとも、説いています。
子どもの成長とともに、子育ての方法も変わってきます。子どもが思春期を迎える頃には、自分の将来についても考えられる時期になってきます。例えば、子どもの将来については、親子で良く話し合い、子どもの希望も聞いて尊重しなければならないでしょう。親から見れば子どもは未熟にみえますから、危なっかしく思える場面も出てくるでしょう。しかし、ここまでくれば、できる限り親は手を出さずに子どもに任せることで、子どものさらなる成長が期待できることでしょう。
親の立場としては、心配な気持ちはぬぐえませんが、どっしり構えて見守る姿勢も大事だと思います。本当にまずい状況になったときだけ手を差し伸べて、軌道修正をしてあげるのが良いのかもしれません。
息子の将来の進路については、中学に入学の頃から何度も話し合って決めてきました。できる限り息子の希望を優先してきました。高校も普通高校ではなく、高等特別支援学校に決めた理由は、就職活動の問題を考慮しただけではなく、この先の学習は、就労スキルを学びたいとの息子の希望からです。入社した会社も仕事内容だけではなく、社員食堂があることも息子の希望でした。
※山本五十六について
山本五十六は、太平洋戦争の開戦の直前の1939年に、当時の海軍の花形である連合艦隊の司令長官に任命された人物で、当時の英雄です。また、日露戦争時には、バルチック艦隊を破った日本海海戦にも参加していたことでも有名な人物です。
なお、驚かされるのは山本五十六が帝国軍人で、このように人材育成に関して深い洞察を持っていたことです。なぜなら、私の帝国軍人のイメージは、部下をコマの1つとしてしか見れない人物像を想像しがちだったからです。