「発達障害のお子さんでも、学校でうまくやっていくヒント」の巻

前回、会社でうまくやっていくためには、協調性が重要であることをお話ししました。
協調性が求められるのは、会社だけではありません。学校も集団生活ですから、やはり協調性が求められます。今回はその続きです。
集団生活では、他者に対する配慮が必要です。そうしないと、他者と良好な関係を築くことがむずかしいからです。他者に配慮する気持ちが協調性ですから、協調性が求められるのは、会社だけではありません。集団生活の場であれば、どこでも良好な人間関係が求められます。例えば、学校生活は集団生活ですから、当然ですが学校でも協調性が必要となるのです。
協調性の重要性をご理解していただくために、ぜひこちらをご参照ください。
学校生活は、ある側面では個人プレーヤーとして、個人の学業成果を評価されるところです。ですが、別の側面では学校生活という集団生活が、将来の社会生活(会社などの集団生活)に適応して円滑に生活できるようにするための練習の場ともいえると思います。
例えば、学校行事のなかには、運動会、体育祭や文化祭があります。これらの行事は、協調性が試される良い機会とも言えます。試されるだけではなく、協調性を醸造し、レベルアップできる機会でもあると思います。運動会や体育祭では、同じチーム同士が協力し合って頑張らないと競技に勝つことができません。
普段は、関係が薄かったりあまり仲良くなかった者同士でも、競技でペアになったり、チーム対抗戦で同じチームになれば、嫌でも協力し合わなければ競技に勝つことができませんので、協力し合うことになります。競技の結果がどうであれ、一生懸命に力を合わせて頑張った同士であれば、運動会、体育祭の終了後も、両者の関係性は大抵良い方向に変化が生じると思います。
たとえ競技に参加していなくても、同じチームの応援席で、一生懸命応援合戦をした者同士でも、同じような連帯感が生まれると思います。文化祭でも、同じようなことが言えると思います。
他にも、学級会や生徒会などは、集団生活のなかでの重要事項を、民主主義(十分に議論したうえで多数決)で決定する場です。意見の違う者同士が、平和的に話し合いで問題解決を はかる方法を学ぶ場でもあります。ここでは、最終的に決まった事項が、たとえ自分の意思とは違った内容だったとしても、みんなで決定した決まり事ですから、それを守ることを強制されます。
決定された事項に関して、自分は反対の意見をもっていたとしても、その不満の気持ちを抑えて守らなければならないものです。自分の気持ちや不満を抑えて決まり事を守ることも、協調性です。協調性がうまく育っていないと、みんなで決定した決まり事を守れないということが起こり得ます。ですが、守らないとトラブルになります。そうなると、最悪の場合、集団生活から排除の対象となってしまうかもしれません。
集団生活でもっとも重要なことは、秩序です。秩序がないとまとまるものもまとまらないからです。集団生活のルールを守らない自分勝手な行動をするものがひとりでもいると、集団生活が崩壊する恐れがあります。ですから、集団生活では、協調性が不可欠なのです。
会社だけでなく、学校生活においてもトラブルが絶えないという場合は、協調性が十分に育っていない可能性がありますので、注意が必要です。なお、お子さんが幼い場合には、集団生活のルールを理解できていないために、うまくいかないということもありますので、十分な見極めとそれに対する対応が必要となります。
会社や学校は集団生活の場であり、協調性がとても大事であることをご理解いただけたと思います。逆に協調性が育っていると良いことがたくさんあります。協調性とは、自分の気持ちを抑えて、相手とうまくやっていきたいという気持ちです。1対1の関係でも、相手に配慮する気持ちをもって相手に接することができれば、相手からもうけ入れてもらえる可能性が高くなります。集団生活であれば、みんなにうけ入れてもらえる可能性が高くなるということです。
集団生活において、発達障害児(者)がみんなにうけ入れてもらえるということは、とても大きなことです。なぜなら、その集団生活(会社生活でも、学校生活でも)での人間関係が円滑になり集団生活がとても楽になり、みんなと楽しく過ごせるようになるからです。
今回はここまでです。次回は「協調性を育てるにはどうしたらいいの?」の巻です。お楽しみに。